この研究は、ラットの酸化ストレス及び行動に対する超低周波(ELF)磁界ばく露の影響を調べた。雄の成獣のWistarラット72匹を対照群、疑似ばく露群、ばく露群(1 µT、100 µT、500 µT、2000 µT)に無作為に割付けた。60日間のばく露(2時間/日)後、高架十字迷路(EPM)、モリス水迷路(MWM)、受動的回避学習(PAL)課題を用いて、不安様行動、空間的・受動的学習及び記憶をそれぞれ評価した。行動学的試験の数日後、酸化ストレスマーカーを測定した。空間参照記憶試験中、ばく露群(100 µT、2000 µT)はより多くの時間をターゲットゾーンで費やした(F (4, 55) = 5.699、P = 0.0007、一元配置ANOVA)。PALでは、ばく露群(100 µT、500 µT、2000 µT)の記憶力試験におけるステップスルー潜時(STLr)は対照群よりも有意に大きかった(F (4, 55) = 29.13、P < 0.0001、一元配置ANOVA)。EPMでは、ばく露群(500 µT、2000 µT)は開放部の腕に進入する割合が減少した(F (4, 55) = 26.31、P < 0.0001、一元配置ANOVA)。ばく露群(100 µT、500 µT)では、マロンジアルデヒド(MDA)濃度が上昇した(F (4, 25) = 79.83、P < 0.0001、一元配置ANOVA)。これらの結果から、ELF磁界ばく露は記憶保持(記憶取得ではない)を改善すると結論付けられるかも知れないが、不安状態または酸化状態を進展させる要因となり得る、と著者らは述べている。