この研究は、細菌への食細胞の生理学的応答に超低周波電磁界(ELF-EMF)が影響を与えるか否かを調べた。THP-1細胞(ヒト単球性白血病細胞株)を培養し、その細胞に黄色ブドウ球菌またはインターフェロンガンマ/リポ多糖(IFgamma / LPS)を取り込ませたのち、そのTHP-1細胞に、50 Hz、1 mTのEMFばく露を4 - 6時間与えた。一酸化窒素(NO)、誘導型一酸化窒素シンターゼ(iNOS)レベル、熱ショックタンパク質70レベル(hsp70)、cGMPレベル、カスパーゼ-9活性化、および黄色ブドウ球菌の増殖速度の変化を測定した。その結果、ばく露群での細菌の増殖曲線は、対照のものよりも低かった;ばく露群ではNOレベルが上昇した;その増加は、黄色ブドウ球菌を取り込んだ細胞でより顕著であり、EMFばく露なしの細胞で生じる増加よりも早く現れた;一方、iNOSレベルはわずかなに減少した;EMFばく露に応じたcGMPレベルの増加は、NOレベルの増加と密接に関連していた;ELF-EMF単独では、時間依存的にhsp70レベルが上昇した;細胞が黄色ブドウ球菌またはIFgamma / LPSを取り込んだ場合、EMFばく露はより高いレベルのhsp70を生成した;以上の知見は、ELF-EMFが細菌の増殖、および細菌の攻撃に対する免疫系の応答に影響を与える可能性を示唆した、と報告している。
THP-1細胞を過酸化水素(陽性対照として)、黄色ブドウ球菌( Staphylococcus aureus)またはインターフェロンガンマ/リポ多糖類でインキュベート中に、50Hz、1mT電磁界に4-6時間ばく露した。成長率を判定するため、黄色ブドウ球菌もばく露した。
一酸化窒素ブロッカーとしてのアミノグアニジンで追加実験を実施した。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 4 h to 6 h |
Additional information | THP-1 cells (with or without infectious agents) |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Helmholtz coils with 25 cm diameter and 400 turns of copper wire, positioned parallel to the ground, producing a vertical magnetic field; field homogeneous (<5%) within the 30 mm high exposure area with a diameter of 30 mm round the center of the coils; Helmholtz coils placed inside an incubator |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | +/- 0.05 mT |
(両方の磁束密度で)ばく露した細菌の成長曲線は対照よりも低かった。
電磁界単独ばく露はTHP-1細胞での一酸化窒素レベルを上昇させた。この上昇は、 Staphylococcus aureus で誘導した細胞では更に強調され、電磁界ばく露なしの細胞(例:細菌処理のみ)よりも早まったようである。但し、電磁界ばく露下では、誘導型一酸化窒素合成酵素のレベルに僅かな減少が認められた。
電磁界ばく露に対するcGMPレベルの上昇は、一酸化窒素レベルの上昇と密接に相関していた。
超低周波電磁界は単独で、hsp70のレベル上昇を時間依存的に生じた。細胞をStaphylococcus aureus またはインターフェロンガンマ/リポ多糖類で誘導した場合、電磁界ばく露はより高いhsp70レベルを生じた。
超低周波電磁界はカスパーゼ-9活性化を僅かに抑制した(即ち、アポトーシスが僅かに減少した)。
このデータは、超低周波電磁界が細菌の成長及び細菌の脅威に対する免疫系の応答に影響を及ぼすことを確認するものであり、超低周波電磁界を有益な用途に(例:感染症に対する非薬理学的な治療因子として)利用できることを示唆している。
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