この研究は、出芽酵母(Saccharomyce scerevisiae)の野生株および変異株を用いて、超低周波磁界(MF)ばく露が細胞の増殖、細胞分裂周期、生存およびDNA損傷に変化を与えるか否かを調べた。変異株として、高親和性DNA結合因子1遺伝子(hdf1)、放射線感受性52遺伝子(rad52)、両方の遺伝子(rad52hdf1)の変異株を用いた。野生株およびこれらの変異株に、2.45 mTの正弦波50 Hz MFの96時間ばく露を行った。MFは1対のヘルムホルツコイルによって生成された。このばく露期間中に、増殖は600 nm光学密度測定で、細胞周期の進行は顕微鏡的形態素解析で分析した。次に、酵母の生存率は落下試験で、抽出したDNAは電気泳動試験で分析した。その結果、rad52株で増殖の有意な増加が観察され、rad52 hdf1株で有意に近い増加が観察された;すべての株で、MFばく露群の生存率は、対照群に比べて低く、すべての株のばく露群を一括した場合、その低下は有意に近くなった; MFばく露群での細胞周期の進行およびDNAパターンは、すべての株において変化しなかった、と報告している。
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、二本鎖切断は異なるDNA修復経路で修復される:1) 相同的組換え、2) 一本鎖アニーリング、及び3) 非相同的末端結合。Rad52変異体の酵母細胞は相同組換えによって二本鎖切断を修復することができず、一本鎖アニーリングの能力が低い。HDF1変異体の細胞では、非相同的末端結合経路が影響される。rad52 hdf1二重変異体では、DNA二本鎖切断修復の全ての経路がブロックされている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 96 h
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 96 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | samples located in the region within the coils where the fields' homogeneity was high; coils 40 cm in diameter, 154 turns of 1.4 mm copper wire, centres separated 20 cm. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2.45 mT | - | 測定値 | - | - |
著者らは、超低周波磁界ばく露(2.45mT、正弦波50Hz、96時間)は、 DNA鎖切断修復に欠損のあるSaccharomyces cerevisiae 株の成長(rad52 変異体で増加)及び生存能力(統計的に有意でない)に変化を生じたと結論付けている。但し、磁界ばく露は細胞周期における変化及びDNA損傷を生じなかった。
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