研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[出芽酵母株でのDNA鎖切断修復欠損に対する2.45 mTの正弦波50 Hz磁界の影響] med./bio.

Effect of 2.45 mT sinusoidal 50 Hz magnetic field on Saccharomyces cerevisiae strains deficient in DNA strand breaks repair

掲載誌: Int J Radiat Biol 2010; 86 (7): 602-611

この研究は、出芽酵母(Saccharomyce scerevisiae)の野生株および変異株を用いて、超低周波磁界MFばく露細胞の増殖細胞分裂周期、生存およびDNA損傷に変化を与えるか否かを調べた。変異株として、高親和性DNA結合因子1遺伝子(hdf1)、放射線感受性52遺伝子(rad52)、両方の遺伝子(rad52hdf1)の変異株を用いた。野生株およびこれらの変異株に、2.45 mTの正弦波50 Hz MFの96時間ばく露を行った。MFは1対のヘルムホルツコイルによって生成された。このばく露期間中に、増殖は600 nm光学密度測定で、細胞周期進行顕微鏡的形態素解析で分析した。次に、酵母の生存率は落下試験で、抽出したDNAは電気泳動試験で分析した。その結果、rad52株で増殖有意な増加が観察され、rad52 hdf1株で有意に近い増加が観察された;すべての株で、MFばく露群の生存率は、対照群に比べて低く、すべての株のばく露群を一括した場合、その低下は有意に近くなった; MFばく露群での細胞周期進行およびDNAパターンは、すべての株において変化しなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

超低周波磁界ばく露が、野生型及び変異した酵母株の成長、細胞周期生存能力及びDNA損傷に変化を生じるかどうかを調べること。

詳細情報

出芽酵母Saccharomyces cerevisiae)では、二本鎖切断は異なるDNA修復経路で修復される:1) 相同的組換え、2) 一本鎖アニーリング、及び3) 非相同的末端結合。Rad52変異体の酵母細胞は相同組換えによって二本鎖切断を修復することができず、一本鎖アニーリングの能力が低い。HDF1変異体の細胞では、非相同的末端結合経路が影響される。rad52 hdf1二重変異体では、DNA二本鎖切断修復の全ての経路がブロックされている。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 96 h

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 96 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 samples located in the region within the coils where the fields' homogeneity was high; coils 40 cm in diameter, 154 turns of 1.4 mm copper wire, centres separated 20 cm.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 2.45 mT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

著者らは、超低周波磁界ばく露(2.45mT、正弦波50Hz、96時間)は、 DNA鎖切断修復に欠損のあるSaccharomyces cerevisiae 株の成長(rad52 変異体で増加)及び生存能力(統計的に有意でない)に変化を生じたと結論付けている。但し、磁界ばく露細胞周期における変化及びDNA損傷を生じなかった。

研究の種別:

研究助成

関連論文