原子間力顕微鏡法(AFM)、透過電子顕微鏡法(TEM)、共焦点レーザー走査顕微鏡法を使用して、50Hz 0.4mT磁界(MF)がチャイニーズハムスター肺(CHL)の細胞膜の精製された表皮成長因子受容体(EGFRs)とEGFRsのグラスタリングに及ぼす影響を調査した。結果は、MFに30分ばく露した精製EGFRsは受容体クラスタリングを誘発することを明らかにした。明白なクラスターのピーク高さは、1.42±0.18nm(擬似ばく露)から3.08±0.38nm(ばくばく露)に上昇し、一方、平均半幅は、21.7±2.2nmから33.4±4.0nmに上昇した。同様の影響がTEMでも確認された。精製EGFRをPD153035(PD)、EGFR特有のチロシン・キナーゼ(TK)阻害剤で処理した場合、精製タンパク質のMF誘導EGFRクラスタリングを阻害し、EGFの無い細胞膜の受容体でも影響が確認された。これらの結果は、50Hz 0.4mTのMFが、おそらくは細胞質のTK領域との相互作用によって、EGFRの情報伝達経路を阻害することを強く示唆している。
上皮成長因子受容体(EGFR)は膜貫通糖タンパク質で、多くのタイプの哺乳類の細胞表面で発現する。EGFRモノマーにはチロシンキナーゼのある細胞間ドメインが含まれ、これはEGFRの活性化をブロックし、細胞間シグナル伝達経路を妨げる、EGFRチロシンキナーゼ特異的阻害剤PD153035によって個別に阻害される。
精製したEGFR(5mg/ml)または細胞を以下の3群に分けた:1) 偽ばく露群、2) 磁界ばく露群、3) 異なる濃度のPD阻害剤での前処理群。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 30 min
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 30 min |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | The magnetic field was fairly uniform (± 0.012 mT) over the exposure area between the plates. The whole set-up was placed in a CO2 incubator maintained at 37°C and was shield from external field. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.4 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
データは、精製したEGFR受容体が、細胞膜及びEGF結合から離れてクラスターを形成する(即ち、少なくとも2つのモノマーがクラスターを形成する)のを、磁界ばく露が誘導することを示した。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は明らかに、リガンドフリーのクラスタリング作用をブロックする。
この知見は、EGFRのチロシンキナーゼドメインが、磁界との相互作用の候補部位であろうということを示している。
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