この研究は、マウスでのホットプレート試験により、痛覚過敏に対する超低周波磁界(ELF-MF、60 Hz)の影響を調べた。ELF-MFが一酸化窒素(NO)を介した疼痛メカニズムに関与するか否かを判定するために、NOレベルおよび一酸化窒素シンターゼ(NOS)の発現を測定した。さらに、ELF-MF誘発性痛覚過敏におけるCa(2+)依存NO経路の関与を、NMDA受容体拮抗薬およびCa(2+)チャネル遮断薬によるCa(2+)源阻害により評価した。その結果、マウスをELF-MFにばく露すると、痛み閾値が低下し、脳と脊髄のNO合成が上昇した;NOS阻害剤により、このようなELF-MFの影響は弱まった;ELF-MFによる痛覚過敏効果は、Ca(2+)チャネル遮断薬ニモジピンによっても阻害されたが、NMDA受容体拮抗薬MK-801によっては阻害されなかった; Ca(2+)依存性のnNOSとeNOS、およびCa(2+)非依存性のiNOSの発現は、ELF-MFの影響を受けなかった;これらの知見は、ELF-MFばく露がCa(2+)依存のNOS活性化を引き起こし、NO合成の増加に伴って痛覚過敏が誘発される可能性が示された、と報告している。
超低周波磁界ばく露の痛覚過敏作用と関連するかも知れない一酸化窒素(NO)システムを検討した。NMDA受容体拮抗薬(MK-801)及びカルシウムチャネル遮断薬(ニモジピン)でCa2+源をブロックすることで、痛覚過敏におけるカルシウム依存性のNO経路の関与を評価した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 48 h
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 48 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | coils produced a magnetic field in the vertical direction at the center of the system with the cage located between the coil pair. Sham exposed mice were placed in the same location with the coils switched off. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2 mT | effective value | 指定なし | - | - |
動物の超低周波磁界ばく露は、痛覚閾値を低下させ、脳及び脊髄でのNO合成を上昇させた。超低周波磁界の痛覚過敏作用は、カルシウム依存性の一酸化窒素合成と関連していることが示された。カルシウム依存性の構成型一酸化窒素合成酵素及びカルシウム非依存性の誘導型一酸化窒素合成酵素の発現は、超低周波磁界によって変化しなかった。
著者らは、超低周波磁界はCa2+-依存性の一酸化窒素合成酵素を介してNO合成を変調させることで、痛覚過敏を生じると示唆している。
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