この研究は、3次元構造をもった腫瘍のインビトロモデルであるMG-63骨肉腫スフェロイドにおいて、磁束密度1 mT、50 Hzの正弦波磁界がこのMG-63骨肉腫スフェロイドの細胞を損傷するか否か、また、2日間のばく露後にこの3次元モデルの浸潤様式に変化が生じるか否かを調べた。具体的には、スフェロイド表面形態(光学顕微鏡的観察)、増殖(スフェロイド直径およびタンパク質含有量の測定)、乳酸脱水素酵素の放出、グルタチオン量の低下の変化を調べた。またがん細胞の浸潤定量は、浸潤チャンバを用いてアッセイした。その結果、ELF磁界による細胞損傷誘発は示されなかった;浸潤チャンバーアッセイでは、ばく露を受けたスフェロイドで、浸潤能力が有意に増加した;このような変化にフィブロネクチンまたはヒアルロン酸受容体が関与するか否かをウェスタンブロット分析により検討したが、MG-63多細胞腫瘍スフェロイドのどちらの受容体にも有意な変化は観察されなかった、と報告している。
腫瘍の生物学の多くの側面を調べるための、イン・ビボ腫瘍を模倣した三次元多細胞腫瘍回転楕円体の利用は、単層の細胞培地よりも現実的な実験モデルである。
イン・ビトロ基底膜のあるチェンバによって非浸潤細胞の移動をブロックする(逆に、浸潤細胞は浸潤できる)浸潤チェンバを用いて、腫瘍細胞の浸潤特性を調べた。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 2 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 2 days |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | The exposure system was located inside an incubator (Model 3028, Forma Scientific, Marietta, OH) and maintained at 37 ± 0.5 °C in a 5% CO2 atmosphere. |
ばく露装置の詳細 | It consisted of a pair of coaxial circular Helmholtz coils. They each had the same diameter (30 cm) and the same number of turns (100) and were connected in series. The distance between the two coils was 15 cm. The generated magnetic field was horizontal with respect to gravity (and to the tissue culture plates). A uniformity of the magnetic field within ±5% over the exposure area of 12.5 x 8 x 2 cm was achieved. |
Additional information | "Sham" samples were kept in the same incubator as exposed ones but inside a cylinder of Mumetal with a horizontal axis so as to be shielded from the magnetic field produced by the Helmholtz coils as well as from the terrestrial static field. The Mumetal cylinder used was 30 cm in length and 23.5 cm in diameter and was open at both ends in order to allow air circulation. The alternating magnetic field measured inside the Mumetal cylinder was close to zero (0.84 µT), measured with an accuracy of ±3%. In addition, the static component was found to be 2.2 ± 0.5% µT. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | peak | 測定値 | - | - |
データは、超低周波磁界による細胞損傷の誘導を示さなかったが、浸潤チェンバ・アッセイはばく露した回転楕円体の浸潤ポテンシャルの有意な増加を示した。
フィブロネクチン及びCD44(ヒアルロン酸)受容体は細胞接着及び浸潤において重要な役割を担っているが、これら2つの分子は観察された浸潤性の変化に直接的には関与していないようである。
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