この研究は、MNU(N-メチル-N-ニトロソウレア)誘発性結腸腫瘍モデルでのE-カドヘリン発現に対する正弦波電磁界(SMF)の影響を調べた。細胞接着因子E-カドヘリン系の不活性化は、多段階発がんにおいて重要な役割を持つ。オスのウィスターアルビノラットを4群に分けた。I(MNU)、II(MNU + SMF)、III(SMF)、IV(対照)である。I、II群にはMNU 投与を行い、その後、II、III群はSMF(50 Hz、5 mT)ばく露を6時間/日で8か月間継続して受けた。4つの群について、ラット結腸組織でのE-カドヘリンの発現をパラフィン切片で免疫組織化学的に測定した。免疫組織化学的分析では、Vectastain Universal Quick Kitを用いた標識ストレプトアビジンビオチン法をを実施した。フィッシャーの直接確率検定により比率間の統計分析を行った。その結果、E-カドヘリン発現の免疫組織化学的分析で、細胞質での発現パターンに実験群間の有意差が見られた;この知見は、電磁界が細胞接着メカニズムに有意な変化をもたらす可能性を示唆している、と報告している。
E-カドヘリンは、細胞の接着にとって重要な細胞膜中のタンパク質である。E-カドヘリンの発現の減少は、腫瘍細胞の転移形成の増加に関連している。N-メチル-N-ニトロソ尿素の直腸投与によって、結腸腫瘍の形成を誘発した。ラット30匹を以下の4群に分けた:1) N-メチル-N-ニトロソ尿素のみ(n=10)、2) N-メチル-N-ニトロソ尿素+磁界(n=10)、3) 磁界のみ(n=5)、4) 対照(n=5)
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
6 h/day for 8 months
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 6 h/day for 8 months |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | the rats were housed in fives per polycarbonate cage |
ばく露装置の詳細 | twelve serially connected solenoids with an iron core and 860 turns of copper wire each |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | - | 測定値 | - | - |
核でのE-カドヘリンの発現率には、群間で統計的有意差は見られなかった。但し、グループ1(N-メチル-N-ニトロソ尿素のみ)では、グループ3(磁界のみ)と比較して、細胞質のE-カドヘリンの有意に高い発現率が見られた(EMF-Portal注記:組織学的分析の結果は示されていない)。
著者らは、5mTの50Hz磁界へのラットの慢性ばく露は、結腸での細胞質のE-カドヘリンの発現に有意な変化を生じる、と結論付けている。
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