[雌の仔ラットにおける電磁界によって惹起された母親のストレスによる不安様行動] med./bio.

Maternal stress induced anxiety-like behavior exacerbated by electromagnetic fields radiation in female rats offspring

掲載誌: PLoS One 2022; 17 (8): e0273206

この研究は、雌の仔ラット不安行動および海馬における幾つかの不安関連経路に対する、出生前のストレス、ならびに妊娠前および妊娠中の超低周波(ELF)電磁界ばく露の影響を調べた。40日齢の雌ラット24匹を、対照群ストレス群(母ラット慢性ストレスを受けた)、電磁界ばく露群(母ラット電磁界ばく露された)、ストレス電磁界ばく露群の4群に6匹ずつ分類し、高架式十字迷路試験およびオープンフィールド試験を実施した後、脳を解剖して海馬を分析した。24(S)-ヒドロキシコレステロール(24(S)-OHC)、コルチコステロン、およびセロトニンのレベルを酵素結合免疫吸着法(ELISA)で測定した。クリプトクロム2、ステロイド産生性急性調節タンパク質、3B-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体2(NMDAr2)およびリン酸化N-メチル-D-アスパラギン酸受容体2(PNMDAr2)を免疫ブロット法で分析した。その結果、全ての処理群で不安行動が増加し、同時に、電磁界は母ラットストレスによる不安を強めた。ストレス群ではセロトニンの減少およびコルチコステロンの増加が認められた。電磁界ばく露群では対照群と比較して、PNMDAr2/NMDAr比および24(S)-OHCの増加が認められたが、コルチコステロンには変化は認められなかった。電磁界ばく露行動学的試験及び分子試験におけるストレスによる変化を回復させなかった。これらの結果は、ELF電磁界海馬でのPNMDAr2/NMDAr比および24(S)-OHCの増加に帰結される不安行動誘導し得ること、ならびに、出生前のストレス海馬でのセロトニンの減少およびコルチコステロンの増加を介して不安に寄与しているかもしれないことを明確にしている、と著者らは結論付けている。また、母親のストレスによる不安行動電磁界ばく露によって悪化することを見出した、と報告している。

ばく露