この研究は、10 GHzマイクロ波への3時間/日、30日間のばく露による、ラットの皮膚への影響を調べた。その結果、(国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の2020年のガイドラインにおける職業的ばく露に対する参考レベルに相当する)10 mW/cm^2ばく露群では、擬似ばく露群と比較して、有意な生物物理学的、生化学的、分子的および組織学的変化が認められた。赤外線サーモグラフィーでは、30日間の10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、1.8°C(標準偏差0.3°C)皮膚表面の平均温度の上昇が認められた。10 mW/cm^2ばく露群の皮膚では、酸化ストレス(活性酸素腫(ROS)、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)、過酸化脂質(LPO)、タンパク質過酸化物(AOPP))、炎症反応(核内因子kB(NFkB)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS/NOS2)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2))ならびに代謝変化(ヘキソキナーゼ(HK)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クエン酸シンターゼ(CS)およびグルコース- 6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD))も認められた。10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、細胞の生存に関連するマーカー(Akt/PKB)およびHSP27/p38MAPK関連ストレス応答シグナル伝達カスケードの発現に有意な変化が認められた。但し、マイクロ波ばく露群にはアポトーシスは認められず、これはカスパーゼ-3のレベルに変化はないことでも示された。10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、組織病理学的分析で表皮層の軽度の細胞構築変化と白血球の僅かな凝集が認められた。これらの知見は全体として、10 mW/cm^2(3時間/日、30日間)の10 GHz連続波へのばく露は、ラットの皮膚におけるストレスへの適応応答に関連した分子マーカーの有意な変化につながることを示している、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。