この研究は、携帯電話使用による行動変化のメカニズムを、ラットの海馬における酸化還元状態、コリンエステラーゼ活性、細胞、遺伝毒性損傷および認知変化を観察することで調べた。雄のWistarラット24匹を無作為に4群(各群n = 6)に割付け、グループIを擬似ばく露対照群とし、グループII-IVをそれぞれマイクロ波放射(900 MHz)に1、2および4時間/日、90日間ばく露した。90日間のばく露終了後、T字型迷路を用いて学習能力を評価した。その結果、マロンジアルデヒド(MDA)のレベルの有意な上昇、ならびにスーパーオキシド ジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)、酸化還元酵素(グルタチオン(GSH)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、グルタチオンレダクターゼ(GR)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、グルコース-6リン酸デヒドロゲナーゼ(G-6PDH))のレベル低下から、携帯電話の電磁放射へのばく露は脳細胞の酸化還元状態の低下により酸化ストレスを生じること、ならびに、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)のレベル低下は、脳細胞における神経伝達の変化を生じることが示された。また、ばく露した海馬では細胞変性も認められた。これらの結果から、マイクロ波放射は酸化ストレスを生じ、酸化還元状態を低下させ、DNA損傷を生じ、結果として時間依存的に作業記憶を低下させる、と著者らは結論付けている。
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