<目的>ODCは細胞を増殖するポリアミンの生合成に関係する最も重要な酵素であり、がん細胞の促進過程にも重要な役割を演ずると考えられている。我々の研究室から以前に磁界がDMBA発症乳がんに促進作用があること、6週間磁界ばく露でODCがほぼ2倍になることを報告した。乳がんの促進にODCが関与していることが考えられるため、本実験では磁界ばく露期間を1日から13週まで変えて100μT、50HzのODCに及ぼす効果を検討する。 <対象・方法>雌SDラット、50-52日齢、1ケージ9匹、50Hz、100μT、水平磁界 24時間/日、7日/週、12時間:12時間=明:暗。ODC活性はBeaven et al(1978)の方法によった。1群6-18匹、1日、1週、2週、8週、13週でODCを測定(明確な記載はないがResultsから推定)。 <結果>図1にTPAを用いたpositive controlのデータを示す。図2に示すように1週間後には鼠径部乳腺のODCが有意に上昇、2-8週にかけて胸部乳腺のODCが有意に上昇。13週後には有意差がなくなった。再現性をみるため他のラット群を用いて行った実験結果が図3に示されている。2週後には胸部乳腺でODCが有意に上昇していたが8週では再現されなかった。13週では初回同様有意差はみられなかった。第3の実験で2週ばく露の影響をさらに検討した。図4に示すようにcranial thoracic乳腺でODCが有意に上昇した。 <結論>50Hz、100μT磁界ばく露でcranial thoracic乳腺のODCが2週間後に上昇することが確かめられた。この部は乳がんの促進がみられる部位である。
ラットを複数の実験で最大13週間ばく露/偽ばく露した。ばく露の1日目及び2、8、13週後に検査を実施した。これらの時点で異なる数の動物を検査した(グループの範囲はは6-18匹)。約65日間のばく露後に、腫瘍プロモーターの化学物質であるTPAを用いて陽性対照を実施した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
24 h/day, 7days/week, up to 13 weeks
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 24 h/day, 7days/week, up to 13 weeks |
Additional information | horizontal |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 100 µT | - | 測定値 | - | - |
本研究の主な知見は、若齢の雌ラットの50Hz、100µT磁界への2週間のばく露はODCの再現可能な増加を生じるというものである。短期ばく露(1週間未満)または長期ばく露(8週間超)ではODC活性の変化は認められなかった。
更に、2週間のばく露後に認められたODC活性の増加は、主に胸部、特に乳腺のcranial thoracic部分で見られた。
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