この研究は、超低周波電磁界(ELF-EMF)ばく露が睡眠に与える影響を調査するため、イランのカーマン市とその近郊に在る高電圧変電所(132、230、400 KV)の交代制勤務の男性作業者群(ELF-EMFばく露群)、および高圧変電所と同じ地域だが変電所から遠く離れている、セメント、タイヤ、銅工場の交代制勤務の男性作業者(参照群)における睡眠の質を比較した。調査参加者の排除クライテリアは、喫煙および糖尿病・心臓血管疾患・肺疾患などの病歴とした。ELF-EMFばく露群は67人(24 - 57歳)、参照群は110人(24〜50歳)であった。両群の睡眠の質は、連続する3日間の睡眠について回答したピッツバーグ睡眠質調査票(PSQI)で評価した。その結果、ELF-EMFばく露群の90.5 %および参照群の85.3 %が、PSQIにおいて睡眠の質が悪いに分類された(有意差はなし);総睡眠質スコアの平均は、ELF-EMFばく露群で10.22±3.4、参照群で9.74±3.62であった;入眠潜時は、参照群に比べ、ELF-EMFばく露群で有意に長かった;平均睡眠時間は、参照群に比べELF-EMFばく露群の方が短かった、と報告している。
参加者は連続する3日間について、ピッツバーグ睡眠質調査票に回答した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | セメント、タイヤ、銅産業の交代制勤務作業者 |
集団 2 | 高圧変電所の交代制勤務作業者 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 67 | 110 |
測定地点の総数は2583で、そのうち1343地点は磁界、1240地点は電界に関するものであった。測定された電界強度及び磁束密度への職業ばく露は、ICNIRPガイドラインの参考レベルより低かった。
ピッツバーグ睡眠質調査票(症例の90.5%、対照の85.3%)よれば、低い睡眠の質、睡眠質の総スコアの平均、要素スコアについては、症例群と対照群との有意差は認められなかった。入眠までの平均時間は、対照(28.89±20.18分)よりも症例(35.68±26.25分)の方が有意に長かった。症例の平均睡眠時間は5.49±1.31時間で、対照(5.90±1.67時間)よりも短かった。
著者らは、今後の調査では睡眠の質に対する職業ストレス変数(例:残業、低い社会的支援、身体的にきつい仕事、パートタイム労働)のインパクトを含めることと、睡眠ポリグラフ計を用いて睡眠の客観的要因を評価することで、本研究を完遂することを示唆している。
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