この研究は、骨芽細胞の成熟とNOシグナル経路に対する正弦波電磁界(SEMF)ばく露の影響を調べた。その結果、SEMFばく露は、NOSおよびALP活性、オステリックス遺伝子発現、および石灰化した骨結節を有意に増加させた;そこで、NOS阻害剤l-NAME処置の実験を行なったところ、SEMFを介したNOS活性とNOレベルの増加が阻害されることが示された;可溶性グアニル酸シクラーゼ(ODQ)の阻害剤処置の実験により、SEMFによって引き起こされるcGMPレベル増加が阻害されることが示された;3'、5'-サイクリックGMPの5'-GMPへの加水分解の阻害剤PDE5の処置実験により、SEMFによるPKG活性上昇は阻害されることが示された;これらの阻害剤は、骨形成マーカの増加を部分的に阻害した;以上の知見から、SEMFばく露は、NO-cGMP-PKG経路の活性化を介して骨芽細胞の分化を部分的に刺激することが示唆された、と報告している。
超低周波電磁界は、骨粗しょう症を含む幾つかの整形外科疾患の治療法として使用されている。しかし、骨粗しょう症の管理における電磁界の正確な役割は依然として不明である。このため、8群の細胞培地を調べた:1) 対照群、2) ばく露群、3) L-NAME(一酸化窒素シンターゼ阻害剤)で処理、4) ばく露+L-NAME、5) ODQ(可溶性グアニリルシクラーゼの阻害剤、cGMPレベルの上昇を阻害する)で処理、6) ばく露+ODQ、7) PDE5(5型ホスホジエステラーゼ、cGMPを排除)で処理、8) ばく露+PDE5。各群のサンプル数は5個で、全ての実験を2回実施した。
cells were treated in the following eight groups: i) control ii) exposure to EMF iii) 100 µM L-NAME added iv) 100 µM L-NAME added 6 h before EMF treatment + exposure to EMF v) 20 µM ODQ added vi) 20 µM ODQ added 4 h before EMF treatment + exposure to EMF vii) 0.02 U PDE5 added viii) 0.02 U PDE5 added 0.1 h before EMF treatment + EMF exposure
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | solenoids consisting of 50 cm long hollow cylinders with 20 cm diameter, placed in an incubator with 5% CO2 and 37 °C; culture dishes positioned in the center of the solenoid; magnetic field parallel to surface of the plates |
Additional information | exposure durations are not clearly documented for the different endpoints investigated (remark EMF-Portal), but it seems that the following durations were studied: osterix gene expression following 12 h of exposure ALP activity following (up to?) 9 days of exposure mineralization following up to 14 or 21 days of exposure (30 min/day) all other parameters seemed to be investigated following a single exposure of 30 min. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1.8 mT | - | - | - | - |
ばく露の30分後、NOSの酵素活性及びNOのレベルは対照群よりも有意に上昇した。この30分の後、ばく露群での一酸化窒素活性は低下したが、観察した4時間は依然として対照群より高かった。
ばく露群では、対照群と比較して、iNOS、eNOS及びsGCのタンパク質発現が有意に上方制御された。但し、ばく露した細胞培地へのL-NAMEの添加は、L-NAMEを添加しないばく露群と比較して、iNOS、eNOS及びsGCの発現を低下させた。ばく露した細胞培地にODQを添加した場合、ODQを添加しないばく露群と比較して、sGCの発現の低下、及びcGMPの量の減少が見られた。
ばく露した細胞培地へのPDE5の添加は、PDE5を添加しないばく露群と比較して、PKGの発現レベルの低下と、cGMPの量の減少を生じた。
ばく露群では対照群と比較して、転写因子Sp7の遺伝子発現レベルは有意に上昇した。L-NAME、ODQまたはPDE5の添加はこのばく露の影響を阻害した。
ばく露群では対照群と比較して、ALPの活性が上昇した。ばく露した細胞培地へのL-NAME、ODQ及びPDE5の添加は、これらの阻害剤を添加しないばく露サンプルと比較して、より低いALP活性につながった。
ミネラル化に関しては、ばく露した細胞培地では対照と比較して、石灰化した面積が有意に広かった。但し、L-NAME、ODQまたはPDE5の添加は、これらの阻害剤を添加しなかったばく露サンプルと比較して、ばく露サンプルでのミネラル化のレベルを低下させた。
著者らは、正弦波電磁界ばく露によってNO-cGMP-PKG経路が活性化される、と結論付けている。というのは、添加物質によってこの経路が阻害されると、骨芽細胞の分化及びミネラル化に対するこの種のばく露の刺激作用が減じられるためである。
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