研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[弱いELF-Mのばく露を受けたアフリカツメガエルのオタマジャクシでの成熟の遅延:磁束密度の小さな変動への感受性] med./bio.

Delayed maturation of Xenopus laevis (Daudin) tadpoles exposed to a weak ELF-MF: sensitivity to small variations of magnetic flux density

掲載誌: Giuliani L, Soffritti M: Non-thermal effects and mechanisms of interaction between electromagnetic fields and living matter. Mattioli 1885, 2010: pp. 247-260; ISBN 978-88-6261-166-4

この研究は、比較的弱いELF磁界へのばく露が、無ばく露対照とに比べ、アフリカツメガエル(Xenopus. laevis)のオタマジャクシの発育速度を遅くすることを示した以前の実験と同じ実験のデータを再処理して、(弱い)ELFの磁束密度の小さな変動に対するオタマジャクシの発育速度の感度を評価した。大きなソレノイドコイル軸に沿った電界強度のわずかな異方性を利用して、2 つのオタマジャクシ群をわずかに異なる磁束密度の50Hz磁界下で飼育した。2つの群のばく露の差はわずかであったが、有意であった(p < 0.001)。そのばく露の差が、オタマジャクシの発育速度に2.5日の差を生じさせたことが確認され、その差は有意であった(p <0.05)。この結果について、著者らは、「動物の発育速度の制御において、およそ70 μTの磁界閾値が存在することが示唆された。ただし、他の実験動物モデルでさらなる実験的研究を行うこと、ELF磁界の影響を受ける主要な発達通路を個別化することを行わなくては、動物実験においてこのレベルの磁界による障害のいわゆる一般化は行えないと考える」、と報告している。

研究目的(著者による)

先行実験(Severini他、2010)のデータを再処理し、弱い超低周波磁束密度の小さな差に対する、オタマジャクシの発達速度の感受性を評価した(2つの異なる水槽E1及びE2で)。

詳細情報

オタマジャクシ35匹の2つのコロニーを2つの異なる磁束密度で未成熟期(幼生期全体)にばく露し、同等の2つのコホートを対照とした。実験を3回反復した(異なる3組のカエルのペアから生まれた同腹仔で)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 22 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 22 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 1.6 m long solenoid with a diameter of 0.4 m; aquariums E1 and E2 placed on a wooden board in the center of the solenoid
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 70.1 µT mean 計算値 - +/- 0.3 µT in the center of E1
磁束密度 72.4 µT mean 計算値 - +/- 0.4 µT in the center of E2
磁束密度 63.9 µT minimum 測定値 - E1
磁束密度 76.4 µT maximum 測定値 - E1
磁束密度 68.4 µT minimum 測定値 - E2
磁束密度 76.4 µT maximum 測定値 - E2

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中

研究の主なアウトカム(著者による)

このデータは、強い磁界下の水槽E2のオタマジャクシは、弱い磁界下の水槽E1のオタマジャクシと比較して、2.5日有意に遅れて成長したことを示した。この遅れは明らかに、僅かに異なる2つの磁束密度へのばく露によって生じた。この結果は、動物の発達速度を制御する閾値が70µT前後に存在することを示唆している。

研究の種別:

研究助成

関連論文