この研究は、自分の住居が携帯電話基地局に近いと思っている人にはより大きな緊張やストレスがあることを示す心理学的あるいは精神生物学的変化が現れるか否かを57名の被験者で調べた。近隣の携帯電話基地局までの主観的距離感(DBS)、携帯電話の日常使用頻度(MPU)、EMF関連の健康上の懸念、電磁過敏症、心理学的緊張パラメータなどの質問票調査、唾液試料による精神生物学的緊張度の指標(αアミラーゼ、コルチゾール、免疫グロブリンA(IgA)、サブスタンスPの濃度)について分析した。その結果、近隣住民(DBS≦100メートル)であると自己申告した被験者では、唾液中αアミラーゼレベルが有意に高く、症状チェックリストの身体化、強迫的懸念、恐怖的不安、全体的緊張指標であるPSTの尺度の評点が高かった;EMF関連の健康上の懸念の尺度では差がなかった、などの所見を報告している。
参加者は、実験研究 Augner他、2009 の準備期間に調査した。
以下のアンケートを用いた:症状のチェックリストSCL-90-R、身体的なトラブル(BL)、状態不安アンケート(STAI)、安寧アンケート(MDBF)、電磁界の健康懸念についてのアンケート。
例えばストレス応答のマーカーを調べるため、調査完了後の10、25、45分後に唾液サンプルを採取した。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 住居の近くに基地局なし |
集団 2 | 基地局から住居までの距離: ≤ 10 m |
集団 3 | 基地局から住居までの距離: 10 - 100 m |
集団 4 | 基地局から住居までの距離: 100 - 300 m |
集団 5 | 携帯電話使用なし |
集団 6 | 携帯電話使用:日常的ではない |
集団 7 | 携帯電話使用: < 25分/日 |
集団 8 | 携帯電話使用: > 25分/日 |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 57 |
8人の参加者(14%)が自宅の近くに基地局はない、14人(24.6%)が既知の基地局までの距離を100-300m、11人(19.3%)が10-100m、3人(5.3%)が10m以下、21人(36.7%)がわからないと答えた。
自宅から基地局までの距離が100m未満と答えた参加者は、唾液中のアルファ‐アミラーゼの濃度が統計的に有意に高く、症状のチェックリストのサブスケールの身体化、強迫観念、不安、恐怖症性不安、総合的な緊張指数、ならびに状態不安がより高かった。電磁界の健康懸念には有意差は認められなかった。携帯電話使用と調査したパラメータとの関連は認められなかった。
著者らは、基地局の近隣に住んでいると自ら宣言した人々はその他の人々よりも緊張している、と結論付けた。これらの知見は電磁界の健康懸念によっては説明できない。
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