この研究は、ヒトCD4(+)T細胞のサブセットに対する交番磁界(50Hz)または静磁界(いずれも磁束密度は0.5 mT、ばく露時間は2、24、48時間)の影響をサイトカイン放出/含有量、細胞増殖および細胞内遊離カルシウム濃度を測定して評価した。ヒトCD4(+)T細胞は、CD45などの表面マーカの発現が異なるサブセットに分類される。またT細胞は、ナイーブ細胞CD45RA(+)とメモリ細胞CD45RA(-)に分類される。ばく露終了から24時間および48時間、細胞を培養した後に、磁界ばく露の影響を分析した。その結果、2時間ばく露の場合、CD4(+)CD45RA(-)Tサブセットが最も大きく反応した;CD4(+)CD45RA(+)Tサブセットに比べ、CD4(+)CD45RA(-)TサブセットではIFN-γの放出/含有量、細胞増殖、および細胞内遊離カルシウム濃度の低下が観察された;以上の知見から、少なくとも短時間のばく露では、磁界は刺激因子への反応遅延を誘発すること、変化は急速に回復されることが示唆された、と報告している。
細胞培養の24及び48時間後のサイトカイン放出、細胞増殖、細胞内遊離カルシウム濃度に関して、ヒトCD4+ T細胞(CD4+ CD45RA+ T細胞、及びCD4+ CD45RA--T細胞)に対する、0.5mTの50Hz磁界または静磁界の影響を調べること。磁界の影響に対してより敏感なサブセットを同定すること。
このデータは、0.5mT、50Hz磁界または静磁界(2時間ばく露)が、CD4+ CD45RA--T細胞サブセットでは、(CD4+ CD45RA+-T細胞サブセットと比較して)インターフェロン‐ガンマの放出及び量を減少させることを示している。この変化は、どちらの磁界についても(48時間よりも)24時間でより明確であった。ばく露したCD4+ CD45RA--T細胞からのインターフェロン-ガンマ放出は、偽ばく露したCD4+ CD45RA--T細胞と比較して有意に減少した。
フローサイトメトリ分析では、CD4+ CD45RA--T細胞の集団が、磁界(50Hzまたは静磁界)に対して最も敏感であることが示された。このサブセットでは、磁界ばく露の24時間後にインターフェロン-ガンマの量が有意に減少した。但し、この現象は細胞培養の48時間後には回復した。
CD4+ CD45RA--Tサブセットでは、どちらの磁界ばく露によっても、細胞増殖及び細胞内遊離カルシウム濃度の低下が認められた。
このデータは、磁界ばく露は刺激(PHA)に対する応答の遅延を生じること、及び、この改変は少なくとも短期ばく露(2時間)後では可逆的であることを示唆している。この結果は、どちらの磁界もCD4+ T-細胞集団の一方のサブセットにしか影響しなかった理由を説明していない。
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