この研究は、著者らの先行研究の知見(超低周波磁界(ELF-MF)ばく露がラット線条体のドーパミンレベルを増強させた)の理解を拡張するために、ELF-MFに誘発された行動変化におけるドーパミン受容体の役割を検討した。その結果、ELF-MFへのばく露(2.4 mT、1時間/日、1日または7日間)は、ラットの自発運動を強化し、その効果はばく露期間に依存した;この運動活動亢進は、c-Fos様の免疫反応性(c-Fos-IR)の増加に対応していた;ドーパミン作動性D(1)様受容体の拮抗薬であるSCH23390による前処理は、ELF-MFにより誘発される自発運動増加およびc-Fos-IRを阻害した;一方、ドーパミン作動性D(2)様受容体の拮抗薬であるスルピリドによる前処理では、この様な阻害は見られなかった、と報告している。
先行研究(publication 10671)で著者らは、ELF磁界ばく露がラットの線条体においてドーパミンのレベルとその代謝を高めることを見出したことから、ELF磁界によって生じる行動学的変化においてドーパミン作動性の受容体が関与しているかどうかを調べること。
ばく露の30分前にマウスを0.03または0.1mg/kgのSCH23390塩酸塩(SCH、D1-様遮断薬)、あるいは10または20mg/kgの(RS)-(±)スルピリド(Sulp、D2-様遮断薬)で処理した。
ドーパミン作動性のD1-様受容体の刺激は、線条体のc-Fos発現の強固な誘導につながることが知られている。
1または7日間のELF磁界ばく露は、時間依存的に運動活動性を高めた。この運動活動性の亢進は、c-Fos様の免疫反応の増加と平行していた。ドーパミン作動性のD1-様受容体遮断薬(SCH23390)での前処理は、磁界による運動活動性及びc-Fos免疫反応性の亢進を阻害したが、ドーパミン作動性のD2-様受容体遮断薬(スルピリド)ではそうならなかった。
ゆえに、このデータは、ELF磁界による行動学的反応には、少なくとも部分的に、ドーパミンD1-様受容体の活性化が介在していることを示している。
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