この研究は、著者らの原生生物に関する先行研究を踏まえて、原生生物への超低周波電磁界の影響を調べた。先行研究では、細菌性粘菌(Dictyostelium discoideum)の単一細胞アメーバにおけるプロピオニルコリンエステラーゼ(PrChE)活性の存在を示した。その活性阻害は細胞の凝集と分化に影響を与えるため、この酵素の活性は細胞間および細胞環境間の相互作用に関与すると推定された。そこで、この研究では、D. discoideumの単一細胞アメーバに、21 ℃で、3時間または24時間、ELF-EMF(50 Hz、約200 μT)ばく露を与え、分化への影響を評価した。その結果、3時間のばく露を受けた細胞で、分化の初期段階での遅延が観察された;24時間のばく露を受けた細胞で、核分裂率の有意な減少が見られた;PrChE活性は、3時間ばく露された細胞では対照細胞に比べ有意に低かったが、24時間ばく露された細胞では活性増加が示された;ただし、ばく露後24時間、細胞を標準状態におくと、核分裂率およびPrChE活性の値はそれぞれの対照値に戻ったため、このような影響は一時的なもの見えた、と報告している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 3 or 24 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | The coil was directly wound on the sample holder (1.4 cm in radius). Samples were kept in a non working coil system for sham exposure. 3 h and 24 h control samples were kept outside the generator. Additionally, 24 h exposed samples were transferred to standard conditions for 24 h and their respective control was performed for 48 h. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 200 µT | effective value | 計算値 | - | - |
3時間ばく露した細胞では、分化の初期段階の遅延が認められ、24時間ばく露した細胞では、分裂率の有意な低下が見られた。3時間ばく露した細胞では対照よりも、プロピオニルコリンエステラーゼ活性が有意に低下したが、24時間ばく露した細胞にはこの酵素活性の増加が認められた。但し、標準状態下に24時間置いた後に、分裂率及びプロピオニルコリンエステラーゼ活性の値は対照の値に戻ったことから、そのような影響は一過性のようであった。
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