この研究は、50 Hz磁界が、ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis)の免疫細胞における熱ショックタンパク質(HSP70およびHSP790)の発現を誘導するか否かを実験で調べた。HSPの発現は、ウエスタンブロット法での濃度測定により行なった。磁束密度は300、400、600 μTとし、かつそれぞれのレベルでのばく露時間は30、60、90分間の3通りで実験した。その結果、300 μTの場合、いずれのばく露時間でも無ばく露対照群に比べてHSP濃度に差は見られなかった;400 μTの場合、ばく露群において、ばく露時間に依存したHSP濃度の上昇が示された;600 μTの場合、対照群に比べてHSP濃度は有意に高かったが、ばく露時間との関係は見られなかった、と報告している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 30 min - once, twice or thrice with an interval of 3 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of Helmholtz coils consisting of two horizontal PVC coated coils (10 cm x 10 cm, 1400 turns of 0.2 mm copper wire), separated by 13 cm |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
非ばく露のイガイと比較して、3つの異なる時間で300µTにばく露したイガイには、熱ショックタンパク質の発現に差は認められなかった。400µTでは、ばく露したイガイに熱ショックタンパク質の発現の時間依存性の増加が認められた。600µTへのばく露後、熱ショックタンパク質の発現は対照群よりも有意に高くなったが、ばく露時間には依存しなかった。熱ショックタンパク質の誘導は、p38 MAPキナーゼシグナル伝達経路の活性化に付随して生じる。p38 MAPキナーゼのリン酸化も同様に、ばく露強度に依存したが、ばく露時間には依存しなかった。
これらの知見は、磁界ばく露による熱ショックタンパク質の発現の変調の可能性を示唆している。3つのばく露時間の全てで、磁界強度400µTへのばく露だけが蓄積作用を生じ、HSP70及びHSP90の漸増を生じた。
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