この研究は、正弦波およびパルス波の50 Hzの磁界(実効値0.05 - 1 mT)のばく露(連続58時間)を受けた大腸菌の転座活性の変化を調べた。パルス波は方形波で、立ち上がり時間は1 msであった。正弦波のばく露を受けた細菌では、擬似ばく露細菌と比較して有意に低い転座活性を持つコロニーが見られた(著者らの先行研究)が、パルス方形波磁界(PMF)にばく露された細菌では、対照群に比べ、有意に高い転座活性を持つコロニーが見られた、と報告している。その他の知見として、転座活性の増加は、磁界の強度と正の相関を示した;この現象において、PMFばく露コロニーと擬似ばく露コロニーの数とサイズに有意差が観察されなかったため、細菌細胞の増殖は影響を受けなかったと考えている;さらに、大腸菌の細胞生存率は、正弦波ばく露では、対照群より有意に上昇したが、PMFばく露の場合、対照群に比べ有意に低下した;これらの知見は、磁界の生物学的影響が磁界信号の物理的特性、特に波形に大きく依存することを示唆している、と報告している。
弱い正弦波磁界を用いた先行研究(publication 9973 参照)では、50Hz磁界(0.1-1mT)にばく露したバクテリアは偽ばく露したバクテリアと比較して、転写活性が有意に低いコロニーを形成することが示された。
これらの実験を、パルス‐矩形波磁界によって拡張した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 58 hours
sinusoidal signal form
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ばく露2:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 58 hours
rectangular signal form
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 58 hours |
Additional information | sinusoidal signal form |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | Both the active and the sham coils were maintained in an incubator at a constant temperature of 37°C. In each experiment five plates were exposed to MF and five plates were sham-exposed. |
ばく露装置の詳細 | The exposure system consisted of two pairs of Helmholtz coils, 23 cm diameter, 40 (20+20) turns, which were double-wrapped in order to obtain wound (active coil) or counter-wound configuration. In the counter-wound configuration, the current is the same as in the active coil but the MF is zero (sham). The test plates (Petri dishes, 9 cm in diameter) were placed in the centre of the coil system where the field uniformity was within 1%. Two MF signals were used: a) 50 Hz sinusoidal (SMF) and b) pulsed-square wave (PMF) with a duty cycle of 50% and 50 Hz repetition frequency. The root mean square (rms) of the amplitude of the square signal was the same as that of the sinusoidal signal. |
Additional information | The background field within the incubator was also measured: the static component (local geomagnetic field) was 35 µT and the AC component was of the order of 0.1 µT, as measured by a very sensitive probe (EMDEX II, Enertech). The experiments were conducted in a blind procedure. The data concerning the SMF have been published previously in the reference article. |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 58 hours |
Additional information | rectangular signal form |
Additional information | Duty cycle of 50%. The rise time of the square (from the base line to the peak) was about 1 ms. |
ばく露の発生源/構造 |
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パルス矩形波磁界にばく露したバクテリアは、対照よりも高い転位活性を示した。転位活性の上昇には磁界強度と正の相関があった。ばく露コロニーと偽ばく露コロニーの数及び大きさには有意差は認められなかったことから、この現象はバクテリア細胞の増殖に影響されなかった。
加えて、E. coliの細胞の生存能力は、正弦波磁界にばく露した場合は対照よりも有意に上昇し、パルス矩形波磁界にばく露した場合は対照よりも低下した。
これらの実験条件下では、パルス矩形波磁界ばく露は転移活性を刺激し、バクテリアの細胞の生存能力を低下させる一方、正弦波磁界ばく露は転移の移動性を低下させ、細胞の生存能力を高めることが示された。
これらの知見は、磁界の生物学的影響は磁気信号の物理的特性、特に波の形状に依存するかも知れない、ということを示唆している。
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