研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[間欠的な50Hz電磁界はヒト二倍体線維芽細胞の細胞質遊離カルシウム及びミトコンドリア膜電位に影響しない] med./bio.

No effects of intermittent 50 Hz EMF on cytoplasmic free calcium and on the mitochondrial membrane potential in human diploid fibroblasts

掲載誌: Radiat Environ Biophys 2004; 43 (3): 203-207

この研究は、著者らの研究グループが先に報告した、約70 μT以上の超低周波電磁界(ELF-EMF)への間欠ばく露後で培養ヒト二倍体線維芽細胞のDNA鎖切断が増加する[Ivancsits 2002 (Mutat Res 519)]ことのメカニズムについて、ELF-EMFが細胞内遊離カルシウム濃度([Ca2+]i)及び/又は膜電位(ΔΨm)に変化を起こし、それを介してDNA鎖切断が生じるという仮説を検証した。ヒト線維芽細胞にELF-EMF(50 Hz、1000 μT)の間欠ばく露を与えた結果、コメット分析でDNA鎖切断の極めて有意な増加が測定されたが、ばく露群と擬似ばく露群を比較するとΔΨmおよび [Ca2+]iへの影響は観察されなかった。したがって、ELF-EMFで誘導されたDNA鎖切断は、[Ca2+]i及び/又はΔΨmが変化するような細胞内変化が原因であるとは考えられないと結論している。

研究目的(著者による)

ヒト二倍体線維芽細胞において観察されたELF電磁界によるDNA鎖切断には、細胞内遊離カルシウム及び/またはミトコンドリア膜電位の変化が介在しているかも知れないという仮説を検証すること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: intermittent 5 min on/10 min off for 15 hours or 7, 9, 11, 15, 17 hours

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 intermittent 5 min on/10 min off for 15 hours or 7, 9, 11, 15, 17 hours
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 two identical coil systems that were placed inside a commercial incubator to ensure constant environmental conditions (37°C, 5% CO2, 95% humidity) optimized to provide a homogeneous field at the area of the Petri dishes. Each coil system itself consisted of 4 subcoils (2 coils with 56 windings, 2 coils with 50 windings), which were placed inside a µ-metal box.
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ELF電磁界ばく露によるDNA鎖切断有意な増加が認められた。但し、細胞内遊離カルシウムの増加、またはミトコンドリア膜電位の変化は検出できなかった。ゆえに、この結果は、電磁界によるヒト線維芽細胞のDNA鎖切断には、調査したイン・ビトロでの細胞プロセスは介在していないことを示唆している。

研究の種別:

研究助成

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