この研究は、著者らの研究グループが先に報告した、約70 μT以上の超低周波電磁界(ELF-EMF)への間欠ばく露後で培養ヒト二倍体線維芽細胞のDNA鎖切断が増加する[Ivancsits 2002 (Mutat Res 519)]ことのメカニズムについて、ELF-EMFが細胞内遊離カルシウム濃度([Ca2+]i)及び/又は膜電位(ΔΨm)に変化を起こし、それを介してDNA鎖切断が生じるという仮説を検証した。ヒト線維芽細胞にELF-EMF(50 Hz、1000 μT)の間欠ばく露を与えた結果、コメット分析でDNA鎖切断の極めて有意な増加が測定されたが、ばく露群と擬似ばく露群を比較するとΔΨmおよび [Ca2+]iへの影響は観察されなかった。したがって、ELF-EMFで誘導されたDNA鎖切断は、[Ca2+]i及び/又はΔΨmが変化するような細胞内変化が原因であるとは考えられないと結論している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | intermittent 5 min on/10 min off for 15 hours or 7, 9, 11, 15, 17 hours |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | two identical coil systems that were placed inside a commercial incubator to ensure constant environmental conditions (37°C, 5% CO2, 95% humidity) optimized to provide a homogeneous field at the area of the Petri dishes. Each coil system itself consisted of 4 subcoils (2 coils with 56 windings, 2 coils with 50 windings), which were placed inside a µ-metal box. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
ELF電磁界ばく露によるDNA鎖切断の有意な増加が認められた。但し、細胞内遊離カルシウムの増加、またはミトコンドリア膜電位の変化は検出できなかった。ゆえに、この結果は、電磁界によるヒト線維芽細胞のDNA鎖切断には、調査したイン・ビトロでの細胞プロセスは介在していないことを示唆している。
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