この研究は、送電線建造物を利用して生息する野生のアメリカチョウゲンボウ(Falco sparverius)のEMFばく露を調査し、さらに捕獲したチョウゲンボウを用いて、行動へのEMFの影響を実験的に調べた。野生のチョウゲンボウにおいて、観察時間に占めるEMFばく露の割合は25 %から75 %であった。野生チョウゲンボウの24時間中のEMFばく露推定値は、求愛行動中の71 %から抱卵中の90 %までの範囲であったので、捕獲したチョウゲンボウにも同様のばく露を与えた(24時間の88 %)。そのばく露レベルは、735 kV送電線下に営巣した野生チョウゲンボウが経験するレベルとした。その結果、捕獲チョウゲンボウのばく露実験において、求愛行動中の雌の行動は、EMFばく露群の方が対照群に比べ、活動的で警戒心が強く、屋根の頂上に止まる頻度が高かった;ヒナ飼育中の雌では、EMFばく露群の方が対照群に比べ、羽繕いや休息の時間が少なかった;一方、雄の場合、EMFばく露群の方が対照群に比べ、求愛行動中は活動的であり、抱卵中は警戒心が強かった;しかし、以前に報告された通り、EMFばく露群で観察された行動の変化が、直接的に、ヒナの成長や巣立ちの成功を増やし、または孵化の失敗を減らすことに結びつく可能性はなかった、と報告している。
1つ目の目的のため、チョウゲンボウの野生のペアをAM9時からPM4時まで観察し、木製の巣(電力線の約1m下)で過ごす時間を判定した。求愛期間中の1組(14日間)、抱卵と雛の飼育中の6組(28日間ずつ)、巣立ち段階の3組(10日間)を観察した。
2つ目の目的のため、56組のアメリカチョウゲンボウを無作為に抽出し、異なる生殖段階での行動を調べた:1) 求愛(対照群11組、ばく露群9組)、2) 抱卵(対照群10組、ばく露群6組)、3) 雛の飼育(対照群4組、ばく露群4組)。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 71% - 91% of 24 h/day (estimated due to observed time) |
Additional information | wild kestrels |
ばく露の発生源/構造 |
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Distance between exposed object and exposure source | 1 m |
野生のアメリカチョウゲンボウ:チョウゲンボウは観察期間の25-75%でばく露された。24時間のうち、野生の成鳥のばく露は、求愛中の71%から抱卵中の91%の範囲と推定された。
捕獲されたアメリカチョウゲンボウ:求愛中、ばく露された雌は対照群の雌と比較して、有意により活発で、より警戒心が強く、より頻繁に屋根の上に留まった。ばく露された雄は対照群と比較して、求愛中及び抱卵中により活発であった。雛の飼育中、ばく露された雌は対照群と比較して、羽づくろいと休息の頻度が有意に少なかった。
著者らは、野生の及び捕獲されたアメリカチョウゲンボウの繁殖期のばく露条件は同様であった、と結論付けている。このデータは、電力線由来と同様の電界及び磁界へのばく露は、アメリカチョウゲンボウの行動に影響し得ることを示すものである。
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