この研究は、ユーラシアチョウゲンボウ(Falco tinnunculus)の野外調査によって、高圧送電線に営巣しているペアのヒナと、同様の生息地内の対照場所(高圧送電線の影響がない場所)に営巣しているペアのヒナの、卵内で発達から巣立ちまでを比較した。磁界(MF)は、各巣箱で測定された。ヒナの成長曲線、メラトニンレベル、白血球数、および巣立ち成功を分析した。その結果、ばく露群のヒナと対照群のヒナの間で各計測値に差異はなかった;羽の長さ(年齢の代替指標)は、血清メラトニン濃度と負の共分散を示した;以上の知見は、胚期および孵化後の期間(巣立ちまで)における高圧送電線生成MFへのばく露は、チョウゲンボウのヒナに有意な短期間の生理学的影響を及ぼさないことを示唆している、と報告している。
高圧電力線に営巣したチョウゲンボウのつがいの雛と、同様の生息地の対照地点に営巣したつがいの雛を比較するため、実地研究を実施した。
高圧電力線鉄塔への営巣は、鳥を電界及び磁界に長期間ばく露させる。巣立ち前の雛は卵内での成長期から巣立ちまでばく露される。環境の質は成熟期の健康に影響を及ぼし得るので、この時期は雛にとって極めて重要な期間である。
本研究は、2000年の繁殖期にローマ周辺地域で実施した。チョウゲンボウ用の巣箱を高圧電力線鉄塔に設置した。44個の巣箱を本研究に含めた:28個はばく露群、16個は対照群(放棄された送電鉄塔、電力以外の鉄塔、または放棄された建物に設置)。異なるパラメータを調べるため、異なる数の巣を用いた。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50–60 Hz
ばく露時間:
breeding season of the year 2000
|
周波数 | 50–60 Hz |
---|---|
タイプ |
|
ばく露時間 | breeding season of the year 2000 |
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
ばく露装置の詳細 | 30 cm x 30 cm x 50 cm plywood nest-boxes attached to high power line towers 7 m to 20 m above the ground; single and double circuit lines for 60 kV, 150 kV, 220 kV, 380 kV |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
電界強度 | 480 V/m | - | 測定値 | - | on the ground below a 150 kV line |
電界強度 | 2,600 V/m | maximum | 測定値 | - | inside the nest at a 150 kV line |
磁束密度 | 4 µT | - | 測定値 | - | on the ground under a 150 kV line |
磁束密度 | 7.9 µT | - | 測定値 | - | in the nest at a 150 kV line |
磁束密度 | 1.37 µT | minimum | 測定値 | - | - |
磁束密度 | 8.63 µT | mean | 測定値 | - | - |
磁束密度 | 25.16 µT | maximum | 測定値 | - | - |
ばく露された雛と対照の雛の変数に差はなかった。このデータは、高圧電力線から生じる磁界への胚及び孵化後の期間(巣立ちまで)のばく露は、チョウゲンボウの雛に有意な短期的生理学的影響を及ぼさないことを示唆している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。