<目的>ENUを母親に一回投与して仔に発症する脳腫瘍に60Hz磁界が促進効果を示すか否かを評価する。 <対象・方法>雌F344を用いた。10~11週齢で交尾させ、妊娠18日にENU 5mg/kgを一回静脈内投与。グループ分けは表1。160匹のENUを投与された母獣をグループⅢ~Ⅶに分けた。ENU投与48時間後から2、20、200、2000μT、60Hz、20時間/日、直線磁界を仔が離乳するまでばく露。2~8匹の仔を生んだが、各グループには1~2匹の雌を残した。 <結果>表2に腫瘍発生率をまとめてある。GⅠ(生食のみ投与)には腫瘍は全くみられない。全部で145の中枢神経腫瘍、70の末梢神経腫瘍がみられたが、磁界のレベルとの関連はみられない。表3、4にはグリア腫を発症した動物の比率が30%~46%にわたることを示す。GroupⅧ(ENU+TPA)とGroupⅡ(ENU)との間には有意差あり。しかし表4に示すようにシャムとばく露群との間にはいずれも有意差は認められていない。図1には65週までの累積腫瘍発生率を示すがばく露群との間に有意差はない。 <結論>今回の実験条件では磁界に促進作用はみられなかった。
このイン・ビボでの研究では、化学的変異原のエチルニトロソ尿素(ENU)にばく露されたラットにおける中枢神経系/末梢神経系の腫瘍のプロモーションに対し、60Hz線形正弦波磁界によって生じる可能性のある影響を調査した。
合計400匹の雌ラットを8群(各50匹)に分けて調査した:1) 非処理、2) ENUのみ、3) ENU+偽ばく露、4-7) ENU+磁界ばく露(磁束密度2、20、200、2000µT)、8) 陽性対照(TPA処理)。
rats were treated in 8 groups: i) saline injection ii) 5 mg/kg ENU injection iii) 5 mg/kg ENU injection + sham EMF exposure iv) 5 mg/kg ENU injection + exposure to 2 µT v) 5 mg/kg ENU injection + exposure to 20 µT vi) 5 mg/kg ENU injection + exposure to 200 µT vii) 5 mg/kg ENU injection + exposure to 2000 µT viii) 5 mg/kg ENU injection + 10 µg/kg TPA injection
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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偏波 |
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ばく露時間 | 20 h on/day, 4 h off/day from 48 h after ENU injection until weaning of the offspring (up to 65 weeks) |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | 20 identical exposure modules, each containing 8 cages (3 rats per cage), arranged in 5 rows of 4 modules |
ばく露装置の詳細 | rectangular solenoid |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
60Hzの線形正弦波磁界へのばく露は、雌ラットの生存、または中枢神経系/末梢神経系の腫瘍発生率に影響しなかった。
これらの結果は、磁界には化学的変異原のENUにばく露された雌のラットにおける神経原性腫瘍に対するプロモーション作用はないことを示すものである。
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