この研究は、神経分化、ならびに神経分化・神経変性・ミトコンドリア機能に関与するシグナル伝達経路に対する無線周波(RF)電磁界の影響を調べた。全トランス型レチノイン酸またはスタウロスポリンを用いてSH-SY5Y[ヒト神経芽細胞腫]細胞を分化させ、コリン作動性及びドーパミン作動性ニューロンを得た。SH-SY5Y細胞を935 MHz RFに4 W/kgで24時間ばく露した。その結果、RFばく露はニューロンの表現型を定量的に変化させなかった。調査したシグナル伝達経路のマーカー(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、細胞外シグナル調節キナーゼ(Erk)1及び2(p-Erk1/2)、プロテインキナーゼB(Akt)グリコーゲンシンターゼキナーゼ3 β(GSK3β)、Wnt/β-カテニン)は、擬似ばく露群と比較して、ばく露群に有意な影響は認められなかった。RFばく露グルコース欠乏状態の細胞でのミトコンドリア呼吸を阻害したが、グルタチオンのレベルならびにミトコンドリア分裂及び融合マーカーに変化はなかった。これらの知見は、RF電磁界はミトコンドリアの機能の阻害につながるかも知れないが、それは最大呼吸時に、グルコース欠乏等の更なるストレス要因の存在下のみで顕在化することを示している、と著者らは結論付けている。
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