この研究は、電磁過敏症(EHS)を自己申告する患者32人について、酸化ストレス及び抗酸化ストレス応答の評価のための前向き調査を実施した。脂質過酸化について血漿中の全てのチオバルビツール酸反応性物質(TBAR)、特にマロンジアルデヒド(MDA)を測定し、酸化ストレス評価についてチオール基分子の総量、還元型グルタチオン(GSH)、酸化型グルタチオン(GSSG)を測定し、過酸化亜硝酸による酸化/ニトロソ化ストレスの指標であるニトロチロシンを測定した。更に、赤血球中のCu-Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)の活性、ならびに赤血球及び血漿中のグルタチオンリダクターゼ(GR)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)を測定した。その結果、検討したバイオマーカーによっては、EHS自己申告患者の30-50%で、健康な対照群から取得した正常値と比較して、TBAR、MDA、GSSGの血漿中の平均レベルの統計的に有意な増加が認められた(P<0.0001)。対照的に、GSH、GSH/GSSG比、グルタチオン総量(GluT)、GSH/GluT比の血漿レベルは、正常な範囲の上限を超えておらず、これらのGSH関連バイオマーカーの数値は20-40%の患者で統計的に有意に低下した(P<0.0001)。更に、赤血球中の平均SOD1及びGPx活性の統計的に有意な上昇が、それぞれ最大60%及び19%の患者で認められた(P<0.0001)が、赤血球中のGR活性の上昇は6%の患者でしか認められなかった。この研究は、EHSを自己申告する患者の最大80%が、末梢血中の1つ以上の検出可能な酸化ストレスのバイオマーカーを呈することを初めて報告するものであり、新たな病理学的障害の実在することを示すものである、と著者らは結論付けている。
[JEICによる注記:この研究は、EHSを自己申告する患者の末梢血中の各種バイオマーカーを測定し、健康な対照群と比較したものであるが、論文中には患者の電磁界ばく露を測定または評価したという記述はなく、電磁界ばく露とバイオマーカーとの直接的な関連は論じられていない。]
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