この研究は、超低周波(ELF)磁界がヒトの神経運動制御全般、ならびに生理学的姿勢震戦及び脳電図(EEG)に及ぼすかも知れない影響を調べた。著者らは、一次運動野からのEEG皮質μリズム(8-12 Hz)と生理学的震戦は関連していることから、この皮質領域に焦点を当てた60 Hz磁界ばく露がヒトの生理学的震戦を急激に変調しうる、との仮説を立てた。ボランティア被験者10人(年齢:23.8±SD 4歳)にMRIと両立するEEGキャップを装着し、11の条件(60 Hz、5 mT rms刻みで0-50 mT rms)で磁界にばく露した。同時に、生理学的震戦(反対側の人差し指で記録)及びEEG(関連する運動及び体性感覚脳領域から)を測定した。その結果、分析した生理学的震戦のいずれの特徴に対しても、磁界ばく露条件の有意な影響は認められなかった。EEGに関しては、C1、C3、C5及びCP1電極に対する磁界ばく露の有意な影響は認められなかった。但し、CP3及びCP5電極に対する有意な影響が認められ、どちらも磁束密度の増加に伴うμリズムのスペクトルパワーの低下を示唆していた。但し、これはボンフェローニ調整ペアワイズ比較では確認されなかった。EEGと震戦の知見に照らせば、ヒトの運動制御に対する磁界ばく露の影響は認められなかった。但し、磁界ばく露は触覚に関与する脳領域でのμリズムの振幅に僅かな影響を生じた。著者らは、この予備的研究はサイズが小さいので、この知見の解釈には注意を要するが、これらは国際機関が電磁界ばく露に関するガイドラインを確立するうえで予備的な洞察を提示するものである、と述べている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
5 seconds per exposure condition
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 5 seconds per exposure condition |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | head exposure system consisted of a 176-turn coil (16 layers of 11 turns each, 6 cm inner diameter and 22 cm outer diameter) made of hollow square copper wire cooled by circulating water; coil could generate the magnetic field without any perceptible noise or vibration |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 50 mT | maximum | 測定値および計算値 | - | - |
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