<目的>ヒトTF-1細胞を用いた実験により、脂質情報伝達系に対する電 磁界影響を調べることを目的とした。<方法>パルス強度2T、パルス立ち上がり時間84μs、誘導電界91V/mのパルス電磁界を用いて、フローサイトメトリーによりヒトTF-1細胞の細胞周期を調べた。また、ホスホリパーゼDの生成について、アルコール存在下にて燐脂質塩基交換反応を測定することで調べた。<結果および結論>細胞のG1期は31%増加しS期は35%減少した。パルス強度2Tのパルス磁界にディアシルグリセロール(DAG)やホスファチジン酸(PA)などの脂質セカンドメッセンジャーを曝露した場合の変化は、パルスの数にも依存した。DAGの生成量はパルス数30で2倍になり、パルス数40で3倍になった。また、PAの生成量は3分の1から10分の1まで減少した。ホスホリパーゼDの生成測定では、ホスファチジルエタノールが増加し、DAGやPAは減少した。パルス磁界曝露の後、コリンは急速に増加しコリンリン酸は60分後に増加した。パルス磁界曝露はDAGやPAの型を変化させ、このことがホスファチジルイニシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンの減少につながったと考えられる。著者らは、電磁界曝露によりPC-PLC経路が一時的に不活化されたと考えている。
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