著者:
van Moorselaar I, Slottje P, Heller P, van Strien R, Kromhout H, Murbach M, Kuster N, Vermeulen R, Huss A
掲載誌: Environ Int 2017; 99: 255-262
この研究は、これまでの電磁過敏症者(EHS)誘発実験で指摘された問題点(EHS者に実験室への来訪を強いる(ストレスが多いと見られる)、試験信号の種類をEHS者は選択できない)を改善するため、EHS者が在宅で、ばく露条件(信号タイプ、強度、ばく露時間)を個別に設定して二重ブラインドばく露ができるような持ち運び型ばく露装置を作成し、それを用いて試験した。試験の目的は、被験者がばく露状況を同定できるか否かを判定すること、試験結果のフィードバックがEHS自己申告レベルを変えるか否かを評価することの2点である。ベースライン調査、二重ブラインド無作為化対照試験の直前および直後、試験の2、4ヶ月後の2回のフォローアップ調査の計5回、質問票調査を実施した。無線周波または超低周波の電磁界を感じ取ると報告した人を適格な被験者とし、彼らの自宅または彼らが試験を快適に行えると指定した場所で試験場所とした。二重ブラインド試験の前に、ブラインド無しのばく露セッションを設けて試験するばく露条件を選択し、そのばく露条件は被験者が反応するばく露条件であることを実験者は被験者と共に確認した。二重ブラインド試験では、10回の「真のばく露」および「擬似ばく露」が無作為順に呈示された。試験結果は試験終了直後にフィードバックされた。結果として、被験者は42人(29-78歳、平均年齢55歳、女性が76%);二重ブラインド試験において、「真のばく露」を偶然以上の確率で正確に言い当てることのできた人はいなかった;フォローアップ調査でのEHS自己申告レベルは、ベースラインに比べて有意差がなかった;しかし、フォローアップ調査では、「数分以内にばく露に反応する」ことの確かさの低下の報告、ベースラインに比べて報告される症状数の有意な減少が見られた;個別対応した手順での試験への参加体験を生かす人が一部存在することが示唆された、と報告している。