研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用とぶどう膜メラノーマのリスク:ぶどう膜メラノーマのリスク要因についての症例対照研究の結果] epidem.

Mobile phone use and risk of uveal melanoma: results of the risk factors for uveal melanoma case-control study

掲載誌: J Natl Cancer Inst 2009; 101 (2): 120-123

この研究は、携帯電話の使用とブドウ膜黒色腫リスクとの関連を評価した症例対照研究である。デュースブルグ=エッセン大学で459人のブドウ膜黒色腫症例を収集した。症例455人については、一般人口からの対照827人が症例とマッチされた選出された。症例133人については180人の眼科での対照が選出され、症例187人については187人の兄弟対照が選出された。質問票により携帯電話の使用について調査し、条件付きロジスティック回帰によりブドウ膜黒色腫リスクオッズ比OR)と95 %信頼区間(95 %CI)を推定した。その結果、ブドウ膜黒色腫リスクは、携帯電話の通常的使用と関連しなかった(一般人口対照の場合、OR = 0.7、95 %CI = 0.5 - 1.0;眼科対照の場合、OR = 1.1、95 %CI = 0.6 - 2.3;兄弟対照の場合、OR = 1.2、 95 %CI = 0.5 - 2.6);ばく露の累積的尺度においてはいかなる傾向も観察されなかった;結論として、著者らの先行研究の結果(携帯電話の通常的使用者群におけるブドウ膜黒色腫リスク上昇)は再確認されなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用とぶどう膜メラノーマリスクとの関連を調査するため、ドイツにおいて症例対照研究を実施した。先行研究(publication 5146)の知見を再評価すべきである。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月にわたって少なくとも週に1回と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 携帯電話使用:なし
集団 2 携帯電話使用:散発的
集団 3 携帯電話使用:定常的
参照集団 4 累積使用年数:なし
集団 5 累積使用年数:散発的
集団 6 累積使用年数:定常的、≤ 4年
集団 7 累積使用年数:定常的、5 - 9年
集団 8 累積使用年数:定常的、≥ 10年
参照集団 9 累積通話件数:なし
集団 10 累積通話件数:散発的
集団 11 累積通話件数:定常的、≤ 1176
集団 12 累積通話件数:定常的、> 1176 - ≤ 4350
集団 13 累積通話件数:定常的、> 4350
参照集団 14 累積使用時間:なし
集団 15 累積使用時間:散発的
集団 16 累積使用時間:定常的、≤ 44時間
集団 17 累積使用時間:定常的、> 44 - ≤ 195時間
集団 18 累積使用時間:定常的、> 195時間
参照集団 19 参照日の≥ 5年前の定常的使用:なし
集団 20 参照日の≥ 5年前の定常的使用:あり
参照集団 21 参照日の≥ 10年前の定常的使用:なし
集団 22 参照日の≥ 10年前の定常的使用:あり

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 486 -
参加者 459 1,194
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

携帯電話使用とぶどう膜メラノーマリスクとの関連は認められなかった。ばく露の累積尺度についての傾向は認められなかった。被験者数がより少ない先行研究の知見は確認できなかった。

研究助成

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