この研究は、マウスの胚性幹(ES)細胞の心筋細胞への分化に対する超低周波磁界(ELF-MF)の影響を調べた。細胞へのばく露は、50 Hz、0.8 mTの磁界を連続的に3日間、または10日間与えた。その結果、超低周波磁界のばく露により、ヒトを含むさまざまな動物種で心臓系統促進遺伝子として機能するGATA-4とNkx-2.5の発現がトリガーされることが示された;さらに、磁界はプロダイノルフィン遺伝子発現を増強し、心臓発生において主要な役割を果たすエンドルフィンであるダイノルフィンBの合成および分泌を増強した;これらの影響は転写レベルで生じ、最終的にはES由来の心筋細胞の収量が著しく増加した、と報告している。
先行研究(publication 3965 参照)では、成獣ラットの心室心筋細胞におけるプロダイノルフィンの遺伝子発現を超低周波磁界ばく露が増加させることが示された。この影響は、ダイノルフィンBの合成及び分泌と関連していた。ダイノルフィンBは胚性がん細胞における主要な心臓分化のようであり、ダイノルフィン作動系は多能性胚性幹細胞における心臓発生の主要な誘導因子のようである。
本研究は、欧州連合によって助成された、REFLEXプロジェクト(低エネルギーの電磁界ばく露からの潜在的環境ハザードについての敏感なイン・ビトロ手法を用いたリスク評価)の一部である。
マウス胚性幹細胞の超低周波磁界ばく露は、GATA-4及びNkx-2.5の発現のトリガとなった。磁界はプロダイノルフィン遺伝子発現、ダイノルフィンBの合成及び分泌も強めた。
これらの影響は転写レベルで生じ、最終的には胚性幹細胞由来の心筋細胞の顕著な増加に至った。
これらのデータは、胚性幹細胞における心臓分化の遺伝子プログラムの改変に対する磁界の潜在的利用を証明しており、組織工学及び細胞療法における斬新なアプローチへの道を開くかも知れない。
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