健常者のボランティア研究で、極低周波磁界にばく露させたあと、心拍変動の減少が見られた。このような心拍変動の低下は、心臓血管系の病気に関係することから、EMFへのばく露は、心臓血管系の疾病リスクを高めることが想定されてきた。ある疫学研究では、磁界ばく露が高い環境の電力作業者での心臓血管系による死亡率の増加が示されているが、他の疫学研究ではこのような結果はない。本報告では、職業的な磁界ばく露は、大規模な母集団による心筋梗塞の症例-対照疫学研究で、考えられる交絡因子の詳細な情報とともに、心筋梗塞のリスクが増加さえるかどうかの仮説を試した。SHEEP研究(ストックホルムの急性の心筋梗塞についての母集団に基づく症例-対照研究)のデータを使用し、職業的な磁界ばく露は、診断前1, 5, 10年の職種に基づいた。ばく露区分は2通りのアプローチにより、1つは、磁界ばく露が高いと想定される職種、2つ目は、職種―ばく露マトッリクスによる対象者の区分である。その結果、磁界ばく露が高いと区分された対象者での心筋梗塞のリスク増加はなく、職種―ばく露マトッリックスで最も高いばく露カテゴリー、≧0.3μTでは調整された相対リスクは0.57(95%信頼区間=0.36-0.89)であった。以上のことから、職業的な磁界ばく露は心筋梗塞のリスクを増加させるという仮説は支持されなかった。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 電気・電子工学者及び技術者 |
集団 2 | 鉄道機関士 |
集団 3 | 溶接技師 |
集団 4 | 設備、機械及び電力電気技師 |
集団 5 | ラジオ及びTV組立技師及び修理技師 |
集団 6 | 電話設置技師及び修理技師 |
参照集団 7 | 磁界ばく露レベル < 0.20 µT |
集団 8 | 磁界ばく露レベル 0.20 - < 0.30 µT |
集団 9 | 磁界ばく露レベル ≥ 0.30 µT |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 1,485 | 2,088 |
参加者 | 695 | 1,133 |
関連する職業グループにおける急性心筋梗塞の女性の数が非常に少なかったため、本研究は男性に限定された。
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