この研究は、5G Fr1 周波数帯の電磁界が精巣組織の小胞体 (ER) ストレスに及ぼす影響と、これを抑制するコエンザイムQ10 (CoQ10) の有効性を調べた。雄のSprague-Dawleyラット8匹からなる 3群を設定した。対照群には経口投与で生理食塩水のみを投与した。電磁界ばく露群には経口投与で生理食塩水を投与し、ラットを2時間/日 (09:00-11:00) 5.9 GHzの電磁界にばく露した。電磁界ばく露+CoQ10投与群には、ばく露群と同じ方法で電磁界にばく露し、実験期間中 (30日間)、CoQ10を10 mg/kg/日、経口投与した。その結果、電磁界ばく露群の精細管では、浮腫領域、血管うっ血、精子形成細胞、特に精子と精子細胞の喪失を伴う好中球炎症、チオバルビツール酸 (TBARS) の増加、総チオール (TT) レベルの低下などの組織病理学的損傷が観察された。更に、精細管では、強い GRP-78免疫陽性を示す生殖上皮細胞とC/EBP相同タンパク質 (CHOP) 免疫陽性を示す精子形成細胞が増加した。一方、電磁界ばく露+CoQ10投与群では、組織病理学的所見と生化学的所見の両方が逆の方向に観察された。CoQ10は抗酸化特性と酸化ストレスおよびアポトーシスを抑制する能力により、5G電磁界誘発性の精巣ER損傷に対する有望な候補となる可能性がある、と著者らは結論付けている。
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