[シンクロトロン光源フーリエ変換赤外顕微分光法を用いて、シンクロトロン光源テラヘルツ放射へのばく露後の単一ニューロン様褐色細胞腫細胞の生化学的変化を明らかにする] med./bio.

Shedding light on biochemical changes in single neuron-like pheochromocytoma cells following exposure to synchrotron sourced terahertz radiation using synchrotron source Fourier transform infrared microspectroscopy

掲載誌: J Synchrotron Radiat 2025; 32 Pt 1: 155-161

この研究は、シンクロトロン光源フーリエ変換赤外 (SS FTIR) 顕微分光法を用いて、シンクロトロン光源テラヘルツ (SS THz) 放射へのばく露後のニューロン褐色細胞腫 (PC12) 細胞に対する生物学的影響を調べた。10分間のばく露で、PC12細胞はシンクロトロンのTHzビームラインのビーム抽出ポート(BEP)で合計600 J m2のエネルギーを受け、合計入射電力密度は ∼1.0 W/m2 (0.10 mW/cm2) であった。シンクロトロンTHz放射ばく露後のPC12細胞の代謝反応を調べるため、赤外顕微分光法IRMビームラインのFTIR顕微鏡を用いた。このビームラインは、高い光子束と回折限界の空間分解能を提供し、単一細胞レベルでの生体分子官能基の変化を検出できる。SS FTIRスペクトルデータに基づく主成分分析 (PCA) により、SS THz照射を受けた細胞対照群 (非照射) 細胞が明確に分離していることが明らかになった。PCA負荷によると、照射を受けた細胞の主な変化は、それぞれCH2/CH3基の伸縮振動とアミドI/IIバンドで示されるように、脂質タンパク質の組成に関係していた。SS THz照射を受けた細胞では、コレステロールなどの脂質の増加、またはその組成と一部のタンパク質二次構造の顕著な変化が観察された。PCA分析ではさらに、PC12細胞は、SS THz照射後、コレステロール量の増加とアクチン関連タンパク質などの細胞骨格タンパク質合成の調節による細胞形態を通じて細胞膜の安定性を維持している可能性があることが示唆された。この研究の結果は、単一細胞分析を直接実行できる優れたSS FTIR機能を再確認するものであり、(i) 集団内および異なるグループ間の細胞変動に関する独自の生物学的情報、および (ii) 単一細胞レベルでのTHzばく露の影響をより深く理解することにつながる可能性のある、ばく露された細胞における分子変化の証拠を提供するものである、と著者らは報告している。

ばく露