この研究は、携帯電話から発せられる電磁放射(2600 MHz)へのばく露がラットの卵巣に与える影響を調べた。成熟した雌のWistarアルビノラット18匹を、対照群、待機群、通話群の3群(各6匹)に割り付けた。待機群および通話群は8週間にわたり、それぞれ毎時10分間の待機中および通話中の2600 MHz EMRにばく露した。卵巣組織の組織形態学的検査のため、ヘマトキシリン・エオシン(H & E)染色を行った。更に、卵巣のグラヌローサ細胞と黄体で、自食作用関連タンパク質Beclin-1、アポトーシスマーカーCaspase-3、卵巣予備マーカーFSH、酸化ストレスマーカーiNOSの免疫発現を調べた。その結果、顕微鏡検査では、待機群および通話群のラットの卵巣で卵胞の変性が観察された。待機群および通話群から得られた卵巣組織のグラヌローサ細胞と黄体では、Beclin-1、Caspase-3、FSH、およびiNOSの免疫発現が認められた。特に、通話群では他の2群と比較してBeclin-1とCaspase-3の免疫発現が有意に増加した。また、待機群および通話群のiNOSとFSHの発現も対照群と比較して増加した。これらの結果から、電磁放射へのばく露が卵巣に損傷を与え、この過程に自食作用とアポトーシスが関与していることが示唆される、と著者らは結論付けている。
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