この研究では、ラットをマイクロ波と電磁パルス（EMP）に複合ばく露した後、学習および記憶の障害、脳の生理的活動の変化に対する影響、および海馬神経細胞の損傷が観察された。更に、ばく露後の海馬において、鉄、脂質過酸化、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ2（PTGS2）mRNAの増加、グルタチオンペルオキシダーゼ4（GPX4）タンパク質の下方制御など、フェロトーシス［鉄依存性のプログラム細胞死］の特徴に変化が認められた。これらの結果は、マイクロ波とEMPの単独または複合ばく露がラットの学習および記憶を阻害し、海馬神経細胞を損傷する可能性があることを示唆している。更に、複合ばく露による悪影響は単独ばく露よりも深刻であり、これは相乗効果ではなく累積効果によるものかもしれない。加えて、海馬におけるフェロトーシスは、マイクロ波とEMPの単独および複合ばく露によって生じる学習および記憶の障害に共通する基礎的なメカニズムである可能性がある、と著者らは結論付けている。
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