この研究は、高周波(RF)放射の非熱作用が存在するかどうか、また、非熱的なRF放射が神経系にどのように作用するかを調べるため、熱的ノイズ(≤1 °C)の範囲の2856 MHz RF放射にマウスをばく露する空間記憶障害の動物モデルを確立した。その結果、RFばく露後、背側海馬(dHPC)CA1領域でのグルタミン酸の放出には有意な変化は認められなかったが、ドーパミンの放出は減少した。RFは非熱的なメカニズムにより、グルタミン酸作動性CA1錐体ニューロンのカルシウム活性を強め、これはRF停止後に基底レベルに戻った。更に、RFばく露によるdHPCでのドーパミン放出の抑制は、青斑核からdHPCへのドーパミン作動性突起の密度の減少によるものであり、dHPC CA1でのドーパミン軸索終末またはD1受容体の人工的な活性化は、RFにばく露したマウスの記憶障害を改善した。これらの知見は、非熱的なRF刺激は進行中の神経活動を調節し、神経系の機能に神経回路レベルで影響を及ぼすことを示している、と著者らは結論付けている。
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