この研究は、性成熟期のラットの精巣組織に対する携帯電話からの高周波(RF)電磁界の影響を調べた。ばく露群のラットを900 MHzのRFにばく露し、擬似ばく露群および対照群はばく露しなかった。ばく露終了後、ラットを安楽死させて精巣組織を速やかに摘出し、厚さ5 µmにカットして、組織病理学的および生化学的手法で調べた。精巣組織におけるマロンジアルデヒド(MDA)、グルタチオン(GSH)、カタラーゼ(CAT)およびスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のレベルを生化学的手法で測定し、酸化ストレスが生じていたかどうかを判定した。その結果、いずれの群でも組織病理学的所見は認められなかった。群間でアンドロゲンおよびエストロゲン受容体の局在化に有意差は認められなかった。アポトーシス指数およびTUNELアッセイでの陽性細胞の発生率はいずれの群でも同等であった。但し、ばく露群では他の2群と比較して、MDAおよびCATのレベルが有意に高く、GSHレベルは低かった。SODレベルには本質的な差はなかった。これらの結果は、性成熟期の900 MHz RFばく露は精巣に酸化ストレスを生じるが、それによる精巣の損傷は非常に小さく、この研究における組織病理学的手法では測定できなかった、と著者らは結論付けている。
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