この研究は、1760 MHzの無線周波(RF)電磁界へのばく露(比吸収率(SAR)4.0 W/kg、2時間/日、4日間)が、HaCatヒトケラチノサイト細胞において細胞内の活性酸素種(ROS)の産生を生じ得ることを、2 ', 7'-ジクロロフルオレセインジアセテート蛍光プローブ分析を用いて見出した。但し、細胞の成長および生存率はばく露に影響されなかった。皮膚での酸化ストレスは皮膚の加齢プロセスに強く影響されることから、著者らはROSで活性化される皮膚の老化関連因子を分析した。RF電磁界ばく露後のHaCaT細胞では、皮膚の主なしわ関連タンパク質であるマトリックスメタロプロテイナーゼ1、3および7(MMP1、MMP3、MMP7)が有意に増加した。また、分泌されたMMP2およびMMP9のゼラチン分解活性、FoxO3a(Ser318/321)およびERK1/2(Thr 202/Tyr 204)のリン酸化レベルも、RF電磁界ばく露によって有意に上昇した。但し、Bcl2およびBaxの発現レベルに有意な変化はなく、これはRF電磁界ばく露後のケラチノサイトでアポトーシス経路は活性化されなかったことを示している。これらの知見は、1760 MHzのRF電磁界ばく露はROS産生を生じ、MMPの活性化ならびにFoxO3aおよびERK1/2のリン酸化につながることを示しており、RF電磁界ばく露はROS産生を通じてHaCaTヒトケラチノサイト細胞の老化を生じる、と著者らは結論付けている。
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