多くの動物が移動のガイドに地磁気を用いているが、その根底にある神経学的および分子メカニズムは依然として不明である。この研究の著者らは、磁鉄鉱(Fe3O4)が磁気感知の基礎をなしているという仮説を検証するため、磁気に敏感な脊椎動物であるアメリカイセエビ(Panulirus argus)の中枢神経系での遺伝子発現を、磁気による方向付け行動を変化させることが知られている磁気パルスの印加後に調べた。その結果、多数の遺伝子の発現がパルスに反応して変化し、これには脳で647個、食道下神経節で1256個、胸神経節で712個が含まれた。これらの遺伝子の多くは、鉄の調節、酸化ストレス、免疫応答と結びついたタンパク質をエンコードしており、磁気感知に対する磁気パルスのインパクトの可能性と整合する。加えて、磁気感知とのつながりがなさそうに見える、光受容、炭水化物およびホルモン代謝、ならびに他の生理学的プロセスと結びついた多くの遺伝子の発現の変化も生じた。これらの結果は全体として、磁鉄鉱が磁気感知の基礎をなしているという仮説と整合する、と著者らは結論付けている。
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