この研究は、動物およびヒトでの先行研究で報告されている、母親の妊娠中の高いレベルの磁界へのばく露と、子どもの注意欠陥/多動性障害(ADHD)のリスクとの関連を、より正確な磁界レベル測定および医師によるADHDの診断を用いて調べた。また、その関連がADHDのサブタイプ(免疫関連の併存疾患の有無)で異なるかどうかを調べた。既存のコホート研究に参加し、1996年10月1日~1998年10月31日、および2006年5月1日~2012年2月29日に実施した2件の研究で妊娠中の磁界ばく露レベルを取得済みの母子1482組について、米国カリフォルニア州北部のカイザー・パーマネンテ[訳注:米国の大手健康維持機構の名称]が縦断的出生コホート研究を実施した。子どもの追跡期間は1997年5月1日~2017年12月31日であった。参加者の女性について、全ての発生源からの磁界ばく露レベルを取得するため、妊娠中24時間モニタリングメータを装着した。医師の診断によるADHD、ならびに子どもが20歳になるまでの免疫関連の併存疾患(喘息またはアトピー性皮膚炎)を取得した。妊娠中の個別インタビューで交絡因子を確認した。その結果、母子1454組(白人548組(37.7%)、アフリカ系110組(7.6%)、ヒスパニック系325組(22.4%)、アジア・太平洋島嶼系376組(25.9%)、その他または不明95組(6.5%);母親の平均年齢31.4歳(標準偏差5.4歳))のうち、子ども61人(4.2%)が医師の診断によるADHDであった。Cox比例ハザード回帰を用いて追跡期間および交絡因子を考慮したところ、母親の妊娠中の磁界レベルが高かった子どもは、低かった子どもと比較して、ADHDのリスクが2倍以上高かった(調整済みのハザード比(aHR)= 2.01、95%信頼区間(CI)= 1.06-3.81)。この関連は、思春期(≥12歳)まで持続したADHDでより強かった(aHR= 3.38、95% CI =1.43-8.02)。免疫関連の併存疾患があるADHDについては、全てのADHD症例でaHR= 4.57(95% CI = 1.61-12.99)、持続的な症例でaHR = 8.27(95% CI = 1.96-34.79)であった。これらの結果は、母胎内での高いレベルの磁界ばく露は、ADHD(特に免疫関連の併存疾患のあるADHD)のリスク上昇と関連していることを示唆している、と著者らは結論付けている。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: < 0.13 µT |
集団 2 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.13 - < 1.4 µT |
集団 3 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.14 - < 1.5 µT |
集団 4 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.15 - < 1.6 µT |
集団 5 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.16 - < 1.7 µT |
集団 6 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.17 - < 1.8 µT |
集団 7 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.18 - < 1.9 µT |
集団 8 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: 0.19 - < 2.0 µT |
集団 9 | maternal exposure to magnetic fields, 24 h-measurement: ≥ 2.0 µT |
タイプ | 値 |
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適格者 | 1,482 |
評価可能 | 1,454 |
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