この研究は、マイクロ波による認知障害のラットモデルにおけるタンパク質発現の違いを、iTRAQ高分解能プロテオミクス法で分析した。ラットを、2.856 GHz(Sバンド)にばく露した後に1.5 GHz(Lバンド)にばく露(どちらも平均電力密度10 mW/cm^2:SL10群)、擬似ばく露(対照群)、2.856 GHzばく露(S10群)、1.5 GHzばく露(L10群)に割付けた。ばく露の7日後に海馬を摘出し、総タンパク質を抽出して、差次的なタンパク質発現をスクリーニングした。その結果、累積ばく露(SL10群)は391の異なるタンパク質発現を誘導し、そのうち9個が下方制御、382個が上方制御であった。GO分析の結果、これらのタンパク質の生物学的プロセスは、接着、翻訳、脳の発達、学習及び紀伊億、神経発生、等と関連していることが示唆された。細胞成分は主に、細胞外エキソソーム、膜、ミトコンドリアに焦点を当てた。分子機能には、タンパク質複合体結合、タンパク質結合、ユビキチンタンパク質トランスフェラーゼ活性が含まれた。また、KEGG経路には主に、シナプス小胞周期、長期増強、長期抑制、グルタミン酸作動性シナプス、カルシウムシグナル伝達経路が含まれた。重要なことに、累積ばく露(SL10群)は単独ばく露(S10群及びL10群)よりもタンパク質発現がより差次的であった。これらのタンパク質は認知機能と密接に関連しており、マイクロ波に対して敏感である、と著者らは結論付けている。
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