この研究は、900 MHzの無線周波(RF)電磁界への2時間/日、8週間のばく露が雄ラットの生殖能力に及ぼす影響、ならびに、RFばく露による変化に対するスペルミン(ポリアミンの一種)の保護作用の可能性を調べた。その結果、RFばく露は精子の数、生存能力及び運動性を有意に減少させ、精子の奇形を増加させた。ばく露群のラットには、血清インヒビンB及びテストステロンの有意な減少、ならびにアクチビンA、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン及びエストラジオールの濃度の上昇が認められた。精巣ステロイド産生急性調節タンパク質(StAR)、c-kit mRNA発現、及び重要なアンドロゲン性酵素である3β-及び17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの精巣活性が、ばく露後に有意に弱まった。ばく露は精巣の脂質過酸化、カタラーゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼの活性の減少、核因子カッパB p65のトリガ、誘導型一酸化窒素シンターゼ、シクロオキシゲナーゼ-2及びカスパーゼ-3の過剰発現を生じた。ばく露群のラットでは、コメット・アッセイのパラメータの増加により、精巣のDNA損傷が認められた。スペルミン投与(腹腔内、2.5 mg/kg/日、8週間)は、RFばく露による精子及びホルモンのプロファイル、StAR及びc-kit発現、ならびにアンドロゲン性酵素の活性の変化を防止した。スペルミンは、RFによる酸化的、炎症性、アポトーシス性及びDNAの攪乱を防いだ。精巣の組織学的及び組織形態計測的分析では、全ての生化学的知見が支持された。RFばく露は、ステロイド産生及び精子形成の阻害によってラットの精子及びホルモンのプロファイルを攪乱するが、スペルミンは少なくとも部分的には、抗酸化・抗炎症性・抗アポトーシス的機序を通じて、その影響から精巣を保護する、と著者らは結論付けている。
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