静磁界には何らかの神経行動学的な悪影響があることが、複数の実験研究で報告されている。その理由は不明だが、可能性の一つは、神経伝達物質とその受容体のレベルの変化かも知れない。認知、運動制御、シナプス可塑性の分子制御におけるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)の重要な役割に鑑みて、静磁界ばく露とMK-801等のNMDA受容体遮断薬の投与との相互作用を調査することが重要であることから、この研究は、低用量(0.1 mg/kg)のMK-801を雄ラットに生後6-10日目に投与し、その影響が静磁界ばく露の影響下で変化するかどうかを調べた。生後60-63日目にモリス水迷路試験、オープンフィールド試験、ロータロッド試験、高架十字型迷路試験を実施し、学習及び記憶、運動活性、不安様行動に対する長期的影響を評価した。その結果、低用量のMK-801の投与は、長期的な不安様行動、運動、学習及び記憶への有意な悪影響につながらなかった。但し、MK-801と静磁界への同時ばく露は、これらの悪影響を生じた。静磁界ばく露はNMDA受容体の遮断を強化することで、MK-801の神経行動学的影響を増強し得る、と著者らは結論付けている。
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