ヒト急性前骨髄球性白血病(APL)細胞は、前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体アルファ(PML/RARα)融合タンパク質がもたらすエピジェネティックな擾乱による前骨髄球期での分化の停止が特徴である。全トランス型レチノイン酸(ATRA)の治療目的での投与は白血病誘発性機序を再構築して正常な分化プロセスを再誘導する。この研究は、APL NB4細胞(APL患者の骨髄から確立された細胞株)のATRAが介在する顆粒球分化プロセスに対する超低周波(ELF)磁界(50 Hz、2 mT)の影響を、胞増殖及び細胞形態、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)低減、分化表面マーカーの発現をモニタすることで調べた。最後に、活性酸素種(ROS)産生及び関連する分子経路に焦点を絞って機序を調査した。その結果、ELF磁界ばく露は細胞増殖能を減弱し、ATRA投与したNB4細胞の成熟を助けた。更に、ROS産生及びその結果生じる細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK1/2)リン酸化の分析では、細胞内酸化バランスの変化はELF磁界の生物学的影響に影響するかもしれないことが示唆された。これらの結果は、ELF磁界ばく露はAPL細胞のATRAによる顆粒球分化を促進することを示している、と著者らは結論付けている。
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