この研究は、雌ラットの乳がんモデルにおける腫瘍増殖と50Hz磁界ばく露量(すなわち、磁束密度)との関係があるか否か、もしあるのであれば、その特徴を明らかにするための実験を行った。乳がんは、7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)によって誘導された。DMBA投与プロトコールは、第1日に、ラット当たり5mgを経口投与し、その後ラット当たりの総容量が20 mgになるまで、1週間間隔で投与した。このDMBA投与プロトコールにおいて、擬似ばく露対照群での乳がん発症率は、投与後3ヶ月以内で約50%であった。擬似ばく露対照群、0.3-1μT、10μT、50μTおよび100μTの4つの磁束密度のばく露群はそれぞれ、36-99匹のラットからなり、合計で666匹であった。磁界ばく露(または擬似ばく露)は、各磁束密度の50Hz磁界(または磁界発生無し)に、24時間/日、7日/週、初日のDMBA投与後から91日間継続した。ばく露期間終了後、剖検して乳がん病巣の数を検査した。その結果、剖検時点(すなわち、13週間の磁界ばく露後)における肉眼的観察では、乳がん発生率は、50μTばく露群(対照より25.5%上昇)および100μTばく露群(対照より50%上昇)で有意に高かった;乳がん発生率の上昇は、0.3-1μTばく露群では見られず、10μばく露群では10%(有意ではない)上昇した;磁束密度4レベルでの実験データの線形回帰分析では、磁束密度と剖検時点の発症率の間に、非常に有意な線形関係が示された;その相関係数は0.9944であった(P <0.01)、と報告している。
乳腺腫瘍を誘発させるため、発がん化学物質のDMBA(5mg)を経口投与した。投与量の合計が1匹当たり20mgまで3週間連続でDMBA投与を反復した。磁束密度は0.3-1µT、10µT、50µT、及び100 µTとした。磁界ばく露を91日間連続して実施した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
24 h/day, 7 days/week, for 91 days
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ばく露2:
50 Hz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
24 h/day, 7 days/week, for 91 days
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ばく露3:
50 Hz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
24 h/day, 7 days/week, for 91 days
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|
ばく露4:
50 Hz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
24 h/day, 7 days/week, for 91 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 24 h/day, 7 days/week, for 91 days |
Additional information | horizontal |
Modulation type | CW |
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ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 10 µT | effective value | - | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 24 h/day, 7 days/week, for 91 days |
Additional information | horizontal |
Modulation type | CW |
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ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 50 µT | effective value | - | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 24 h/day, 7 days/week, for 91 days |
Additional information | horizontal |
Modulation type | CW |
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ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 100 µT | effective value | - | - | - |
0.3-1µT及び10µTの磁束密度では、乳腺腫瘍の発生率に有意な増加は認められなかった。但し、50µT(対照に対して約25%)及び100µT(対照に対して約50%)では、肉眼で見える腫瘍の発生率の統計的に有意な増加が認められた。データの線形回帰分析では、磁束密度と腫瘍発生率の上昇との線形の関連が明らかになった。
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