<目的>ミニブタに高電界をかけ,世代交代させながら,奇形の発生,発育状況を観察する. <方法>49匹の雌のミニブタをばく露群(31匹),対照群(18匹)に分け,両者に対する飼育環境条件は電界以外は同一とした.電界は60Hz, 30kV/mの平等垂直電界で,ばく露時間は1日20時間である.第1世代(Fo)の雌ブタはばく露開始後,4ヶ月目に交尾させ,100日目(通常分娩の14日前)に胎仔の奇形分析(奇形の有無,大きさ,重さ等)にため7匹解剖し(解剖Ⅰ),残り19匹は第2世代(F1)仔ブタを産ませた.再びFoは10ヶ月後に2回目の交尾を行わせ,100日後に解剖検査した(解剖Ⅱ).F1は18ヶ月後に交尾させ,114日してF2を産み,その後2回目の交尾を行わせ,その胎仔の検査を行った(解剖Ⅲ).最後にF2は10ヶ月後に解剖し,実験を終了した. <結果及び結論>胎仔(解剖Ⅰ)及びF1にはばく露群及び対照群の間に有意差が見られなかった.解剖Ⅱの結果ではばく露群の奇形の発生割合が有意に大きくなったが,Foの大きさ,胎仔の重さ,胎仔の器官の重さには差がなかった.解剖Ⅲでは本両群とも本質的に同じと見なされるが,F2ばく露群には奇形が多く発生した.以上の結果より,高電界長期ばく露と発育状況の間には何らかの相関がありそうである.
第1世代(P1)の雌ブタ(ばく露31頭、偽ばく露18頭)を4か月間の実験後、ばく露していない雄ブタとつがわせた。そのうちの一部を妊娠100日目に屠殺し(奇形検査I)、残りはF1世代の仔を産んだ(同腹仔I)。F1世代を産んだP1の雌ブタを、10か月間のばく露/偽ばく露後に再びつがわせ、妊娠100日目に屠殺した(奇形検査II)。F1の雌ブタ(ばく露29頭、偽ばく露14頭)を18月齢でつがわせ(同腹仔II)、10か月後に再びつがわせ、妊娠100日目に屠殺した(奇形検査III)。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
20 h/day, 7 days/week
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 20 h/day, 7 days/week |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | exposed and shamexposed swines were housed in separate, equivalent buildings; average daily temperatures and relative humidities in both buildings were similar (23°C and 40%, respectively) |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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電界強度 | 30 kV/m | unspecified | 測定値 | - | - |
ばく露群と偽ばく露群のP1雌ブタの最初の仔で、奇形発生率、産仔数、胎児の質量及び胎児の臓器の質量に有意差は生じなかった(同腹仔I+奇形検査I)。但し、偽ばく露されたP1雌ブタと比較して、ばく露されたP1雌ブタの2回目の仔には、奇形発生率の上昇が認められたが、産仔数、胎児の質量、または胎児の臓器の質量には差は認められなかった(奇形検査II)。
ばく露されたF1雌ブタの1回目の仔では、偽ばく露されたF1雌ブタの1回目の仔よりも奇形が有意に多かった(同腹仔II)。但し、ばく露されたF1雌ブタの2回目の仔では、偽ばく露されたF1雌ブタの2回目の仔と比較して、奇形の数に有意差は認められなかった(奇形検査III)。
著者らは、60Hz電界へのばく露とブタの仔の奇形との関連があり得るが、幾つかの潜在的に相互作用している要因もこの反応に関与しているかも知れない、と結論付けている。
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