この研究は、イノシシの精子に、50 Hzの超低周波電磁界(ELF-EMF)の急性ばく露(1時間)を与え、生殖能力への影響を評価した。まず、受精能を獲得させた精子における形態機能的完全性への影響を、磁束密度0から2 mTの範囲のインビトロばく露を与えて調べた。次に、精子が存在または非存在の卵管に、排卵の4時間前にインビボでELF-EMFばく露を行った、ばく露レベルは、インビトロ実験で決定された最小、TD(50)、最大の3レベルとした。初期胚発生の観点から精子に対するELF-EMFの影響を12時間後と6日後に評価した。その結果、インビトロ実験では、ELF-EMF > 0.5 mTばく露は、進行する先体に損傷を誘発し、その結果、透明帯刺激後に精子が先体反応を起こす能力を損ない、体外受精の成績を低下させることが示された;これらの影響は0.75 mTで明白となり、1 mTでプラトーに達した;インビボ実験では、1 mTのELF-EMFには精子機能を損なう能力があり、受精率を有意に低下させることが示された;さらに、精子が存在しない卵管への0.75 mT以上のばく露の場合でも初期胚発生に悪影響を与える可能性が示された、と報告している。
最初にイン・ビトロ実験を実施し、イノシシの精子に対する強度が0-2mT(0.25mT刻み)の範囲の超低周波電磁界の急性(1時間)ばく露のドシメトリックな形態学的-機能的影響力を定義した。次いで、このイン・ビトロ条件下で同定された強度(毒性量の最小値vs.最大値vs.中央値[TD50])を用いて、イン・ビボ実験を実施し、精子あり(プロトコルA)または精子なし(プロトコルB:生殖能を獲得した精子をばく露終了時に挿入)で卵管を超低周波電磁界にばく露し、受精の結果(12時間後)及び胚発生の初期段階の成功(6日後)を評価した。
周波数 | 50 Hz |
---|---|
タイプ |
|
波形 |
|
ばく露時間 | continuous 1 h |
Additional information | in vitro |
ばく露の発生源/構造 | |
---|---|
ばく露装置の詳細 | 30 cm long solenoid with an inner diameter of 12.5 cm, constructed from 8 turns/cm of copper wire on a PVC cylinder; samples placed on a coronal Plexigls plane in the central area of the solenoid inside a humified incubator |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
ばく露の発生源/構造 | |
---|---|
ばく露装置の詳細 | 11 cm long PVC plane, 4 cm wide and 1 cm thick was surrounded by 144 copper wire spires (0.5 mm diameter); one oviduct inserted into the coil |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
このデータは、イン・ビトロでの超低周波電磁界(>0.5mT)が進行性の先体損傷を生じ、透明帯刺激後の精子の先体反応を損ね、体外受精の結果を低下させることを示している。これらの影響は0.75mT(22%が損傷)で明らかになり、1mT(30%が損傷)でプラトー(停滞期)に達した。
対照的に、精子の超低周波電磁界ばく露(全ての強度)は、DNAの健全性には影響しなかった。
イン・ビボ条件下では、1mTの超低周波電磁界は受精率を有意に低下させた。受精率の低下はばく露時に精子がない条件で見られ(プロトコルB:対照の95%に対して80%)、この結果は精子がある状態で卵管をばく露した場合により明確であった(プロトコルA:対照の80%に対して68%)。対照的に、多精子受精率はどちらのプロトコルでも影響されなかった。
加えて、精子がない状態での卵管のばく露(≥ 0.75 mT)は、初期胚発生に負の影響を及ぼすことができた(胚の開裂のスローダウンが見られた)。
結論として、予測性が高い動物モデルにおける初期の生殖結果に、超低周波電磁界がどのように悪影響を及ぼすか、またその際の強度が証明された。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。