この研究は、インビトロ実験で、イノシシの成熟精子が受精能力を獲得する能力に対する正弦波の超低周波磁界MF-ELF(50 Hz、1mT)急性ばく露の影響を評価した。精子に、4時間の培養時間中、MF-ELFばく露を与え、その後、精子の形態学的(表面形態および先体の完全性)および機能的パラメータ(細胞生存率、運動性、先体反応の誘導、アルドース還元酵素(AR)、およびインビトロで卵母細胞に受精する能力)を評価した。また、細胞内Ca2+レベルおよびCa2+クリアランスメカニズム(45Ca取り込みおよび細胞内Ca2+隔離)を、タプシガルギンで誘導された細胞内Ca2+上昇の分析またはMito-Trackerを用いたミトコンドリア機能分析により評価した。その結果、MF-ELFばく露は、培養の最初の1時間は精子の生存率と形態に影響を与えなかったが、その時すでに精子のCa2+恒常性は損なわれていた;すなわち、MF-ELFばく露を受けた定常状態(走化物質濃度勾配がない状態)精子の細胞内Ca2+レベルは、対照のものに比べ有意に低かった;これは、細胞外Ca2+取り込み低下に依存し、細胞内Ca2+貯蔵の抑制的役割により生じたものである;そのため、1時間培養後に、MF-ELFばく露群では、運動性低下、可溶化された透明帯と共培養した場合の弱めの反応性、および卵母細胞浸透能力低下が示された;さらに2または4時間培養後には、原形質膜および先体に形態学的損傷の兆候が現れた、と報告している
イノシシ3頭から精液サンプルを採取した。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 1 h, 2 h or 4 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | 30 cm long solenoid with an inner diameter of 12.5 cm and 8 turns/cm wound on a PVC cylinder; samples placed on a Plexiglas plane in the center of the solenoid; B-field homogeneity 2.2% in the exposure area |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
精子のカルシウム恒常性が既に影響されていた場合、超低周波磁界ばく露はその最初の時間の精子の生存能力及び形態に影響しなかった。ばく露した精子は安静時の細胞内カルシウムレベルが対照群よりも有意に低かった。この結果は、より少ない細胞外カルシウム取り込み(カルシウム-45の取り込みがより少ないことで証明)に依存していた。更に、ばく露した精子は細胞内カルシウム貯蔵が少なく、これはカルシウム放出が少ないこと(タプシガルギンの追加がトリガとなる)、及び、ミトコンドリア活性の漸減によって確認した。その結果、ばく露の1時間後、精子の運動性の低下、可溶化透明帯と同時にインキュベートした場合の中程度の活性、卵母細胞貫通能力の低下が示された。加えて、ばく露の2時間または4時間後、原形質膜への、また先体レベルでの形態学的損傷の兆候が見られた。
結論として、超低周波磁界は、まず細胞カルシウム恒常性を損ない、次いで精子の形態と機能に劇的に影響することで、精子に負の影響力を及ぼす。
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