[微小藻類Chlorella kessleriの成長、光合成、超微細構造に対する静磁界の影響] med./bio.

Effect of static magnetic fields on the growth, photosynthesis and ultrastructure of Chlorella kessleri microalgae

掲載誌: Bioelectromagnetics 2012; 33 (4): 298-308

【背景】バイオマスの生産率を向上させることにより経済を改善できるようになれば、微小藻類のバイオテクノロジにより最小の環境影響で相当の量のバイオ燃料の生産が可能になるであろう。【方法】微小藻類Chlorella kessleriを小規模な水路およびフラスコ全容積培養により1%(v/v)で栽培しながら定期的に静磁界ばく露を与えて、それぞれの栽培法におけるバイオマス生産の増加を検証し、また生理学的変化を調べた。【結果】フラスコ栽培の場合、増殖率は10 mTで最大になり、対照群の0.39±0.06/日に比べ0.88±0.06/日に上昇した。水路栽培の場合、10 mTで増殖率は0.24±0.03 から0.45±0.05/日に上昇し、最終的なバイオマスは0.88±0.11から1.56±0.18 g/Lに増加し、バイオマスの最大生産は1日当たり0.11±0.02 から0.38±0.04 g/L に増加した。生物色素タンパク質、Ca、Znの含有量の増加したので磁界刺激下で生産されたバイオマスは栄養的に優れたものになった。酸化ストレスの増加は抗酸化能の低下(バイオマス1g当たりの抗酸化物質が26±2 から17±1 に減少)により間接的に測定された。正味の光合成能(NPC)と呼吸率は、それぞれ2.1倍、3.1倍に上昇した。磁界を取り除いた後にNPC増強が失われていく過程は一次モデル(指数回帰モデル)によく適合し(R2 = 0.99)、3.3日で半分になった。透過型電子顕微鏡により、10 mT磁界処置に伴う葉緑体の拡大とチラコイド層の減少が観察された。【結論】1日当たりのバイオマス生産を約4倍増加させることにより、磁界ばく露は藻オイルのコストをその他のバイオディーゼル供給原材と競争可能なものにするかも知れない。

ばく露